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納品後に報酬を減額された・一部返金したときの仕訳

納品後に報酬を減額・一部返金したときの仕訳 Webライター

納品した記事について、クライアントから「クオリティが想定より低かったので、報酬を減額したい」と連絡が来た。すでに入金された報酬の一部を、返してほしいと言われた。

そもそも減額に応じなければいけないのか。応じるなら、帳簿にはどう書けばいいのか。迷いますよね。

この記事では、納品後の減額が認められる場面と、減額・一部返金時の仕訳を、入金前と入金後に分けて整理しました。そのまま帳簿に転記できる仕訳例つきです。

本記事はアフィリエイト広告を含みます。

この記事でわかること
  • 納品後の減額が認められる場面と、そうでない場面
  • 減額・一部返金の仕訳は「売上値引」で処理すること
  • 入金前に減額されたときと、入金後に返金したときの仕訳例
  • 源泉徴収や消費税など、見落としやすい注意点
ご確認ください

この記事では、一般的な仕訳パターンを例にご紹介しています。税務の取り扱いは、国税庁の情報をもとにまとめています。法律に関する部分は一般的な説明です。個別のケースの判断は、弁護士や公的な相談窓口にご確認ください。ご自身の状況に合っているかどうかは、お近くの税務署もしくは税理士さんに相談してみてくださいね!

なお、納品のタイミングで売上・売掛金で仕訳している前提で解説します。

納品後の減額が認められるのは、契約の基準に届かないときか、双方が合意したとき

納品が終わったあとでも、報酬を減額されることはあります。減額できるのは、納品物が契約の内容に合っていないときか、双方が合意したときです。合意のない一方的な減額は、そのまま受け入れる必要はありません。

契約書がなくても、契約は成立します。募集要項、発注時のメッセージ、メールで示された文字数・構成・納期・報酬額などが、契約の内容になります。

納品物がその内容に合っていなければ、民法上、クライアントはまず修正(追完)を求められます。相当の期間を定めて修正を求めても直らないときなどに、報酬の減額を請求できます(民法563条)。修正を拒否した場合や、修正が不可能な場合は、催告なしで減額を請求できるケースもあります。不適合の原因がクライアント側の指示にあるときは、減額を請求できません。

一方で、募集要項にもメッセージにも基準が示されていないのに、「品質が低い」と言われただけでは、減額の根拠になりにくいと考えられます。

場面減額できる?ポイント
契約で示された基準に届かず、修正しても直らない減額の対象になり得る基準が何だったかを、募集要項やメッセージで確認する
話し合って、双方が減額に合意したできる合意の内容を、メールやチャットに残す
基準が示されておらず、「品質が低い」と言われただけ根拠になりにくい契約の内容が何だったかを、あらためて確認する
連絡なしに、入金額だけ減っていた合意はしていないまず、減額の理由と根拠を確認する

修正の依頼が来たときは、減額の話になる前に修正対応で解決できることもあります。

連絡なしに入金額だけ減っていたときは、仕訳より先に、クライアントへ理由を確認します。

POINT:フリーランス法・取適法でも、責任のない減額は禁止されている

フリーランス法では、一定の条件を満たす発注事業者が、フリーランス側に責任がないのに報酬を減額することが禁止されています。2026年1月に施行された取適法(中小受託取引適正化法)にも、受注者に責任がない代金の減額を禁止する規定があります。どちらも、発注者の規模や契約期間などの条件があります。減額の通告に納得できないときは、フリーランス・トラブル110番などの公的な相談窓口もあります。

減額・一部返金の仕訳は「売上値引」で処理する

減額に双方が合意したら、帳簿に反映します。減額や一部返金の仕訳は、借方を「売上値引」にします。もとの売上は消さず、減額した金額だけを売上値引で引く形です。

貸方は、入金前か入金後かで変わります。入金前なら、まだ受け取っていない売掛金が減ります。入金後の返金なら、返金した預金が減ります。

タイミング借方貸方
入金前に減額が決まった売上値引売掛金
入金後に一部を返金した売上値引普通預金(返金した口座)

インボイス未登録を理由に減額されたときも、請求後なら売上値引で処理する点は同じです。消費税相当額の減額について、くわしくはこちらで整理しています。

入金前に減額されたときの仕訳例

入金前に減額が決まったときは、減額の分だけ、貸方の「売掛金」を減らします。入金額と売掛金の残りが一致するので、消し込みもスムーズです。

仕訳例 01

A社に記事執筆料30,000円を請求。納品後に、契約で示された基準に届いていないとして、5,000円の減額に双方が合意。25,000円が入金された場合です。源泉徴収と消費税は考えない簡易例にしています。

借方(左側)金額貸方(右側)金額摘要(メモ欄)
売掛金30,000円売上高30,000円A社 記事執筆料(○月納品)
売上値引5,000円売掛金5,000円A社 基準未達による減額(○/○合意)
普通預金25,000円売掛金25,000円A社 入金(○/○)

売上高30,000円から売上値引5,000円を引いた25,000円が、実質の売上です。売掛金は、30,000円から5,000円と25,000円を引いてゼロになります。

入金後に一部返金したときの仕訳例

すでに全額入金されていて、あとから一部を返金するときは、借方を「売上値引」、貸方を返金した口座の「普通預金」にします。返金したときに仕訳を入れます。

仕訳例 02

A社から30,000円が全額入金済み。後日、基準未達を理由に5,000円の返金に合意し、事業用口座から振り込んだ場合です。入金時の仕訳は、売掛金30,000円を普通預金30,000円で消し込み済みとします。

借方(左側)金額貸方(右側)金額摘要(メモ欄)
売上値引5,000円普通預金5,000円A社 記事執筆料の一部返金(○/○合意)
POINT:事業用以外の口座から返金したとき

返金を個人用の口座や現金から行ったときは、貸方を「事業主借」にします。借方が「売上値引」であることは変わりません。

減額や返金が入ると、仕訳のパターンが増えて迷いやすくなります。簿記の知識がなくても、質問に答えていくだけで仕訳がつくられる会計ソフトなら、科目選びで悩む時間を減らせます。

減額・一部返金を仕訳するときの注意点
見落としやすいポイント
合意してから仕訳に入れる仕訳は、減額や返金に合意してから入れます。合意前に入金額が減っていても、売上値引は入れず、まず理由を確認します。合意の内容は、メールやチャットに残しておきましょう。
源泉徴収されている報酬は、返金額の内訳を確認する源泉徴収される報酬は、減額後の金額で源泉徴収税額も変わります。返金額の計算方法はクライアントによって異なるため、内訳を確認してから記帳します。
消費税の課税事業者は、消費税の調整が必要値引きや返金をしたときは、その分の消費税額について調整が必要になります。免税事業者は対象外です。
返金額を経費の科目に入れない返金は、支払った費用ではなく、売上の値引きです。雑費などの経費に入れると、実際より売上も経費も大きく見えてしまいます。
前の年の報酬を返金するときは確認する前年に売上に計上した報酬を、翌年に返金するような場合は、扱いが変わることがあります。税理士さんや税務署に確認すると安心です。

減額や返金のトラブルは、契約内容のあいまいさから起きやすいものです。同じ失敗を避けるためのヒントは、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ
納品後の減額・一部返金の仕訳まとめ

減額や一部返金は「売上値引」で処理し、入金前なら貸方は売掛金、入金後の返金なら貸方は普通預金です。仕訳は、減額や返金に合意してから入れましょう。

  • 減額できるのは、契約の内容に合っていないときか、双方が合意したとき。合意のない一方的な減額は、そのまま受け入れない
  • 入金前に減額が決まったら「売上値引/売掛金」
  • 入金後に一部返金したら「売上値引/普通預金」
  • 源泉徴収や消費税が絡むときは、内訳を確認してから記帳する

参考:国税庁 売上げに係る対価の返還等をした場合

参考:厚生労働省 フリーランス法の説明資料

減額や返金があっても、迷わず記帳するために

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