女優・歌手の木元ゆうこさんが、ご自身が「S状結腸がん」と診断されたことを公表したという報道がありました。
緊急入院のきっかけは腸閉塞だったと伝えられており、驚かれた方も多いのではないでしょうか。
「S状結腸がん」という病名を聞いても、大腸のどのあたりにできるがんなのか、ピンとこない方も多いかもしれません。
この記事では、S状結腸がんの基礎知識から、見逃したくない初期症状のサイン、受診の目安、治療法、似た症状が出る病気まで、看護師ライターのわたしがまとめました。
ニュースをきっかけに検索してくださった方が、必要な情報を落ち着いて整理できるよう、できるだけわかりやすい言葉で解説していきます。
- S状結腸がんとはどんな病気か
- S状結腸がんの初期症状・見逃したくないサイン
- 病院を受診する目安
- S状結腸がんの主な治療法
- 似た症状が出る病気との違い
大腸は、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸からなる「結腸」と、その先の「直腸」に分かれています。
S状結腸は、結腸の中でもいちばん奥、直腸のすぐ手前に位置する部分です。
S字のようにカーブした形をしていることから、この名前がつけられました。
S状結腸がんとは、この結腸の末端付近にできる大腸がんの一種です。
大腸がんは、日本人ではS状結腸と直腸にできやすいことがわかっています。
大腸の粘膜にできた良性のポリープ(腺腫)ががん化する場合と、正常な粘膜から直接がんが発生する場合があるとされています。
食生活の欧米化のほか、加工肉や赤肉の摂取、飲酒、喫煙、肥満、運動不足などが、大腸がんのリスクを高める要因として知られています。
また、一部の大腸がんは、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群といった遺伝性の病気と関連していることもあります。
大腸がんは日本で罹患数の多いがんのひとつで、女性ではがんによる死因の第1位となっています。
決して珍しい病気ではなく、誰にでも起こりうる身近な病気といえるでしょう。
S状結腸がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がないといわれています。
健康診断や人間ドックをきっかけに、精密検査で見つかるケースも少なくありません。
ただし、進行するにつれて、体からいくつかのサインがあらわれるようになります。
- 便に赤い血が混じる(血便)
- 黒っぽい血が混じる(下血)
- 便秘や下痢を繰り返す
- 便が細くなる、残便感がある
- お腹の張りや痛みが続く
- 原因のわからない体重減少や貧血がある
S状結腸のように直腸に近い部分は、すでに便が固形化しているため、こうした血便や便通の変化があらわれやすいのが特徴です。
がんが大きくなって腸の内側が狭くなると、便やガスがスムーズに通過できなくなり、「腸閉塞(イレウス)」を起こすことがあります。
腸閉塞になると、急な強い腹痛や吐き気、嘔吐、お腹の張りといった症状が突然あらわれ、緊急の対応が必要になる場合もあります。
このほか、がんからの出血が続くことで貧血が進んだり、原因のわからない体重減少がみられたりすることもあります。
上記のようなサインが2週間以上続くとき、原因のわからない体重減少や貧血があるときは、自己判断せずに消化器内科などの医療機関を受診しましょう。
40歳を過ぎたころから、大腸がん検診(便潜血検査)を毎年受けることが、早期発見につながります。
血縁者に大腸がんになった方がいる場合は、リスクがやや高まるとされているため、あわせて意識しておきたいポイントです。
気になる症状があるかどうかだけで自己診断することは難しいため、心配なときは早めに検査を受けることが安心につながります。
S状結腸がんが疑われる場合、まずは大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でがんの有無や大きさ、位置を確認します。
このほか、注腸造影検査やCT検査、血液検査(腫瘍マーカー)などをあわせて行い、がんの広がりや転移の有無を調べていきます。
自治体の健康診断などで行われる便潜血検査は、この精密検査に進むきっかけとなる大切なスクリーニング検査です。
検査結果が「要精密検査」だった場合は、不安に思う気持ちもあるかもしれませんが、必ず医療機関で大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。
S状結腸がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)や広がり方によって異なります。
がんが粘膜の浅い部分にとどまっている早期の段階では、内視鏡を使ってがんを切除する「内視鏡治療」が選択されることがあります。
おなかを大きく切らずに治療できるため、体への負担が比較的少ないのが特徴です。
がんがより深く広がっている場合には、「外科治療(手術)」が行われます。
開腹手術のほか、体への負担を抑えられる腹腔鏡下手術が行われることもあり、がんのある部分とともに周囲のリンパ節を取り除きます。
場合によっては、一時的または永続的な人工肛門(ストーマ)が必要になることもあります。
転移がある場合や、手術後の再発リスクが高いと判断された場合には、抗がん剤や分子標的薬を用いる「化学療法(薬物療法)」が検討されます。
このほか、症状をやわらげる目的などで放射線治療が行われることもあります。
治療を終えたあとも、数年間は定期的な血液検査や画像検査、内視鏡検査を受けながら、再発がないかを確認していきます。
どの治療法が適しているかは、がんの深さや位置、転移の有無などによって変わるため、担当医とよく相談しながら決めていくことが大切です。
S状結腸がんの初期症状は、ほかの消化器の病気とも共通する点が多くあります。
症状だけで見分けるのは難しいため、次のような病気との違いも知っておくと安心です。
- 過敏性腸症候群(IBS):腹痛とともに下痢や便秘を繰り返しますが、検査をしても腸に炎症やがんなどの異常が見つからないのが特徴です
- 痔核(いぼ痔・切れ痔):鮮血が混じる出血の原因として多いものの、自己判断は禁物で、大腸カメラでの確認が勧められます
- 大腸ポリープ:良性の段階でも、便潜血検査で陽性になることがあります
- 虚血性大腸炎:急な腹痛と下血が特徴で、比較的高齢の方に多くみられます
- 大腸憩室炎:下腹部の痛みや発熱をともなうことがあります
いずれの病気も、症状だけで自己判断するのは難しいものです。
気になる症状があるときは医療機関を受診し、必要な検査を受けることが安心につながります。
- S状結腸がんは、結腸の末端、直腸の手前にできる大腸がんの一種です
- 早期はほとんど自覚症状がなく、進行すると血便や便通の変化といったサインや、腸閉塞があらわれることがあります
- 治療法は内視鏡治療から外科手術、薬物療法まで、ステージに応じて選ばれます
- 血便や便通の変化が続くときは、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう
- 40歳を過ぎたら、大腸がん検診を定期的に受けることも大切です
- 日頃から便の状態や体調の変化に目を向けることも、早期発見の助けになります
今回の報道のように、体調の変化がきっかけで病気がわかることもあります。
不安な症状を抱えたまま我慢せず、早めに専門家へ相談してくださいね。
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- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html - 国立がん研究センター中央病院 大腸外科「S状結腸がん」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/150/index.html - 兵庫医科大学病院 みんなの医療ガイド「大腸がん(外科治療)」
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/85

