尿酸値はなぜ上がる?高尿酸血症の原因と対策のポイント

メディカル

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が基準値を超えている状態です。

尿酸は、体内でプリン体が代謝される際に生成される老廃物の一種ですが、食習慣やストレス、激しい運動などでも尿酸値が上昇する可能性があります。

尿酸値が高い状態は、痛風や腎臓病などの病気を引き起こす可能性があるため、高尿酸血症の予防と早めの対処が重要です。

この記事では、尿酸値が上がる原因とその予防方法、日常生活でできる具体的な対策について解説します。

高尿酸血症を正しく理解し、健康的な生活を維持するためのポイントをしっかり押さえましょう。

高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高い状態です。尿酸値の基準値は男女ともに7.0mg/dLまでで、これを超えると高尿酸血症と診断されます。尿酸とは、体内の細胞の代謝によって生成される老廃物です。通常は腎臓でろ過されて尿中に排出されますが、尿酸の生成が過剰になったり、腎臓の機能が低下して排出が不十分になったりすると、尿酸が血液中に蓄積して高尿酸血症を引き起こします。初期段階では自覚症状に乏しい病気ですが、尿酸値が高い状態を放置すると、痛風や腎機能障害の発症リスクが高まります。健診などで尿酸値の異常を指摘された方は、早めに適切な治療を受けることをおすすめします。

高尿酸血症の主な症状

高尿酸血症の初期段階では自覚症状がないことが多く、ご自身でも気付かないうちに病気が進行しているケースが少なくありません。ここでは、高尿酸血症で起こりうる症状を具体的に解説します。

痛風発作

尿酸値が高い状態が続くと体内に尿酸結晶が蓄積され、痛風発作を引き起こす可能性があります。痛風発作とは、足の親指の付け根などにあらわれる突然の激しい関節痛のことです。痛風発作には、以下のような特徴があります。

突然の激しい痛み

痛風発作は、夜間もしくは早朝に激しい痛みがみられるのが特徴です。痛みは数時間でピークに達し、日常生活に支障をきたします。

症状があらわれやすい部位は足の親指

痛風発作の症状があらわれやすい部位は、足の親指の付け根です。赤みや腫れをともなうことが多く、膝や足首、手首などの関節に症状がみられる場合もあります。

痛みの持続期間

痛風発作の痛みは数日から一週間程続くことがありますが、その後は次第に痛みが引いていきます。「痛みが引いた=治った」と勘違いし、放置すると再発のリスクが高まります。自覚症状がある場合は、早めに病院で検査を受けましょう。

腫れと熱感

発作が起きた関節部分は、腫れや熱感をともなうことがあります。軽く触れるだけでも痛みを感じるのが特徴です。

可動域の制限や歩行困難

痛風発作が起きた関節は、腫れによってスムーズに動かせなくなります。また、激しい痛みで歩行が難しくなることもあります。

尿酸結石による症状

高尿酸血症では、尿酸が結晶化して尿路結石を形成するリスクが高まります。尿が酸性に傾いている状態では、特に尿酸結石ができやすくなります。

背中やわき腹、下腹部の痛み

高尿酸血症によって尿路結石を引き起こすと、結石がある部位に痛みが生じます。

  • 腎臓結石:痛みはほとんどありません。発見が遅れると、徐々に結石が大きくなることがあります。
  • 尿管結石:結石がある側の背中やわき腹から下腹部にかけて、突然激しい痛みが起こります。痛みは2~3時間持続することもあります。
  • 膀胱結石:下腹部がチクチクと痛みます。また、結石によって膀胱壁が刺激されると尿意を感じやすく、トイレが近くなります。
  • 尿道結石:尿を排出する時に、瞬間的な痛みや血尿がみられます。

結石の大きさや位置によっては、自覚症状がほとんどないこともあります。

下腹部の膨満感・緊満

結石が尿道を塞いで尿閉を引き起こすと、下腹部の膨満感や緊満(皮膚が引っ張られ、パンパンに膨らんでいる状態)、痛みなどの症状がみられます。尿閉とは、膀胱に溜まった尿がほぼ、もしくはまったく出ない状態です。

排尿障害

尿酸が高い状態が続くと腎機能の低下を引き起こし、尿が作られにくくなります。尿の生成・排出が妨げられることで、排尿困難や尿量の減少、頻尿といった排尿障害の症状がみられます。

尿酸値が上がる原因

尿酸値の上昇には、食生活の乱れやアルコールの過剰摂取、肥満、ストレス、そして遺伝的要因が関連しています。特に、プリン体を多く含む食品や飲料を頻繁に摂取することで、体内の尿酸生成が促進され、血中に尿酸が蓄積されます。高尿酸血症を放置すると、痛風や腎臓病、尿路結石などを引き起こすリスクが高まるため、早めの対策が重要です。

体内の尿酸生成メカニズム

尿酸値が上がる原因の一つに、体内での尿酸生成量の増加があります。尿酸は、細胞内にあるプリン体という物質が分解される過程で生成されます。そのため、プリン体の摂取量が増加すると尿酸の生成量が増え、高尿酸血症が引き起こされます。

食習慣と尿酸値の関係:プリン体の影響とは?

尿酸値の上昇に大きく関与するのが、食事中に含まれるプリン体です。プリン体は、内臓肉や魚介類、ビールなどに特に多く含まれます。尿酸値を正常に保つためには、低プリン体の食事や適度な水分摂取が有効です。

運動不足がもたらす高尿酸血症のリスク

運動不足の状態が続くと基礎代謝が低下し、尿酸値が上昇しやすくなります。また、血液循環が悪化することで、腎臓での尿酸の排出機能が低下するリスクもあります。適度な運動は、体重管理や血流の改善に役立ち、尿酸値をコントロールするためにも重要です。

アルコール摂取と尿酸値上昇の関連性

アルコールの過剰摂取は、高尿酸血症の主要な原因の一つです。アルコールが肝臓で代謝される際に尿酸が生成され、また、腎臓での尿酸排出を妨げることがあります。特に、ビールや日本酒などのプリン体を多く含むアルコールは、尿酸値を急上昇させる傾向があります。

ストレスが引き起こす尿酸値の変動とその影響

ストレスを感じると交感神経の働きが高まるため、代謝が活性化することで尿酸の生成が促進されます。また、慢性的なストレスは食生活の乱れや運動不足を生じやすく、さらなる尿酸値の上昇を引き起こす可能性があります。

高尿酸血症を改善・予防するためのポイント

高尿酸血症の改善と予防には、生活習慣の改善が重要です。ここでは、日々の生活に取り入れられる簡単な対策法を6個ご紹介します。生活習慣や尿酸値に不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

プリン体を多く含む食品を控える

高尿酸血症を予防するためには、プリン体を多く含む食品を控えることが重要です。プリン体は体内で尿酸に変換されるため、過剰に摂取すると尿酸値が上昇します。プリン体を多く含む食品には、以下のようなものがあります。

  • 内臓肉:レバーや心臓、腎臓
  • 魚介類:イワシ・サバ・アンコウ・牡蠣・エビ・カニ
  • アルコール飲料:ビール・日本酒・ワイン(特に甘口)

これらの食品を意識的に減らし、代わりに低プリン体の食品を選ぶことで、尿酸値を安定させることができるでしょう。低プリン体の食品とは、具体的には以下です。

  • 乳製品:牛乳・ヨーグルト・チーズ
  • 卵:鶏卵
  • 穀物:白米・パン(特に白いパン)・オートミール
  • 野菜:キャベツ・レタス・ブロッコリー・ほうれん草・にんじん
  • 果物:りんご・バナナ・いちご・オレンジ
  • ナッツ:アーモンド・クルミ

また、調理法にも工夫が必要です。揚げ物や濃い味付けを避け、蒸したり煮たりするとよいでしょう。

バランスのとれた食事

高尿酸血症を予防するためには、プリン体の摂取を抑えつつ、各栄養素をしっかり摂ることが重要です。具体的には、低プリン体の食品である乳製品や卵、穀物を中心にし、野菜や果物も豊富に取り入れましょう。特に、ビタミンCや食物繊維を多く含む食品は、尿酸値を下げる効果が期待できます。また、肉類や魚介類の摂取は適量にし、アルコール飲料や砂糖を含む飲料は過剰摂取を避けましょう。塩分や脂肪分の摂取にも気を付け、健康的な調理法(蒸す、煮るなど)を選ぶと効果的です。

アルコールの摂取は適量を守る

アルコール飲料には多くのプリン体が含まれるため、適量を守ることが重要です。慢性的な飲酒は血中の尿酸濃度を高め、痛風のリスクを高めます。さらに、アルコールは肝臓での尿酸排出を妨げるため、体内に尿酸が蓄積されやすくなります。ビールなら1日に1杯、ワインや日本酒ならそれぞれ少量に抑えることを心がけましょう。また、飲酒時は水分もしっかり摂り、尿酸の排出を助けることも大切です。

十分な量の水分摂取

水分摂取量の目安は、1日あたり約2Lです。十分な量の水分を摂取することで、尿酸の体外排出を促進し、血中の尿酸値低下が期待できます。コーヒーや紅茶など、カフェインを含む飲料には利尿作用があるため、過剰摂取には注意しましょう。水分補給には、水や麦茶などのカフェインレスの飲み物が理想的です。

適度な運動

ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、軽めの有酸素運動を継続的に行うことが推奨されています。体内の代謝が活発になることで血液循環が促進され、体重管理や尿酸値のコントロールに効果が期待できます。しかし、過度な運動は尿酸値を急激に上昇させるリスクがあるため、激しい運動は控えましょう。1回30分程度の運動を週に3〜4回行うことで、無理なく体を動かし、尿酸値のコントロールをサポートします。適度な運動は、高尿酸血症の予防だけでなく、心身の健康維持にも役立ちます。健康的な生活習慣の一環として、早めに習慣化することが大切です。

ストレス管理

強いストレスは体内のホルモンバランスを崩し、尿酸の代謝に悪い影響を与えます。また、慢性的なストレスの蓄積は不眠や過度の飲酒、暴飲暴食など、生活習慣の乱れを引き起こす可能性があります。リラクゼーション法や瞑想、適度な運動など、ご自身に合ったストレス軽減法を見つけ、日々の生活に取り入れてみましょう。ストレスをコントロールしつつ十分な睡眠を確保し、規則正しい生活を送ることで尿酸値を安定させることができます。ストレスをうまくコントロールすることは、心身の健康維持に効果的です。高尿酸血症だけでなく、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病、うつ病などの精神疾患の発症予防にも役立つでしょう。

まとめ

高尿酸血症は、体内に尿酸が過剰に蓄積されることで引き起こされる病気です。

発症には、腎機能の低下や生活習慣(特に、プリン体を多く含む食品やアルコールの過剰摂取、運動不足、ストレスなど)が大きく影響します。

尿酸値が高い状態が続くと痛風や結石などを引き起こし、これまで通りに日常生活を送れなくなるリスクがあるため、注意が必要です。

定期的に病院で血液検査を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。年に一回の受診をおすすめします。

また、高尿酸血症は、生活習慣の見直しによって改善・予防が可能な病気です。

栄養バランスの取れた食生活や、水分補給、適度な運動、そしてストレス管理が効果的です。

早めの対策を心がけ、心身の健康維持のための第一歩を踏み出しましょう。

参考文献

高尿酸血症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
高尿酸血症/痛風 | 生活習慣病
高尿酸血症|循環器病編|気になる病気・健康のこと
痛風・高尿酸血症

参考情報

文字数:4,209文字
(タイトル・見出しを除く)

執筆者

元看護師ライター|立岩 奈緒(たていわ なお)

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