開業前から使っていたパソコンを仕事でも使いはじめた。これって経費にできるのかな?仕訳は必要?
新しく買ったわけではないので、領収書の金額をそのまま入れていいのか、迷いますよね。
この記事では、私用のパソコンを仕事用に転用したときの取得価額の考え方と、減価償却の始め方を、金額入りの仕訳例つきで整理しました。
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- 私用のパソコンを仕事用にしたときの仕訳
- 買った金額ではなく「未償却残高」から始める理由
- 未償却残高の計算方法(耐用年数の1.5倍を使います)
- 転用後の減価償却の始め方と、初年度の月割計算
- 転用で迷いやすい注意点
借方は「工具器具備品」です。貸方は、開業日に転用するなら「元入金」、開業後に転用するなら「事業主借」を使います。
そして金額は、買ったときの値段ではありません。仕事で使いはじめた日の「未償却残高」が、帳簿に入れる金額です。
私用で使っていた期間のぶん、パソコンの価値はすでに減っている。税務ではそう考えるためです。たとえば買ってから3年たったパソコンなら、買った金額より小さい金額からスタートします。
新品を仕事用に買ったときは、購入金額がそのまま取得価額です。私用から転用するときだけ、未償却残高を計算する手順が増えます。
転用するときの出発点は、パソコンの取得価額です。取得価額は、購入代金に加えて、取得に要した金額や、あとから加えた設備費・改良費も含めた合計額です。
この取得価額から、私用で使っていた期間の「減価の額」を引いた残りが、仕事で使いはじめた日の未償却残高になります。
未償却残高 = 取得価額 - 取得価額 × 0.9 × 旧定額法の償却率 × 経過年数
ここで使う数字には、決まりがあります。
パソコン(サーバー用以外)の法定耐用年数は4年です。4年 × 1.5 = 6年。1年未満の端数が出たら切り捨てます。
私用期間の計算は、現在の定額法ではなく旧定額法で行います。6年の償却率は0.166、残存価額が10%なので0.9を掛けます。
購入した日から、仕事で使いはじめた日までの年数です。1年未満の端数は、6か月以上なら1年に切り上げ、6か月未満なら切り捨てます。
未償却残高が出たら、そこから減価償却をスタートします。
転用後の償却は、現在のルールで計算します。個人事業主は届出をしなければ「定額法」になります。定率法にしたいときは、あらかじめ届出が必要です。
耐用年数は、新品で買ったパソコンなら法定耐用年数の4年です。定額法の償却率は0.250になります。
年の途中で使いはじめたときは、使いはじめた月から12月までの月割で計算します。
転用前の「私用期間の計算」は旧定額法、転用後の「償却費の計算」は定額法です。使う償却率が違うので、混ざらないようにしましょう。
次の条件で、計算と仕訳を見ていきます。勘定科目・金額・摘要欄(メモ)まで、そのまま転記できる形にしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入日(取得日) | 2023年4月1日 |
| 取得価額 | 200,000円 |
| 仕事で使いはじめた日 | 2026年4月1日 |
| 経過年数 | 3年(端数なし) |
| 私用期間の減価の額 | 200,000円 × 0.9 × 0.166 × 3年 = 89,640円 |
| 未償却残高 | 200,000円 - 89,640円 = 110,360円 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 償却方法 | 定額法(耐用年数4年・償却率0.250) |
| 1年分の減価償却費 | 110,360円 × 0.250 = 27,590円 |
| 2026年分(4月〜12月の9か月) | 27,590円 × 9/12 = 20,692円(円未満切り捨ての例) |
| 2027年分以降 | 毎年27,590円(最後は備忘価額の1円を残して終わります) |
| 借方(左側) | 金額 | 貸方(右側) | 金額 | 摘要(メモ欄) |
|---|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 110,360円 | 元入金 | 110,360円 | 私用ノートPCを事業用に転用(未償却残高) |
日付は、仕事で使いはじめた日にします。開業時に持ち込んだ資産なので、貸方は「元入金」です。
仕訳パターン 02| 借方(左側) | 金額 | 貸方(右側) | 金額 | 摘要(メモ欄) |
|---|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 110,360円 | 事業主借 | 110,360円 | 私用ノートPCを事業用に転用(未償却残高) |
開業後に追加で持ち込んだ資産は、プライベートから事業へ移ったものとして「事業主借」を使います。
仕訳パターン 03| 借方(左側) | 金額 | 貸方(右側) | 金額 | 摘要(メモ欄) |
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 20,692円 | 工具器具備品 | 20,692円 | ノートPC 2026年分減価償却費(4月〜12月・9か月分) |
日付は12月31日です。2027年分以降は、27,590円を同じ形で毎年計上します。
「転用」「未償却残高」「何年分の償却か」を短く残しておくと、数年後に見返したときに計算の根拠を思い出せます。
計算には、取得価額と購入日が必要です。領収書や注文履歴、クレジットカードの明細などで確認できます。転用の前に、購入の記録を残しておくと安心です。
仕事とプライベートの両方で使うなら、事業で使った割合のぶんだけが経費です。たとえば事業割合が70%なら、2026年分の減価償却費20,692円のうち、事業分は14,484円、私用分は6,208円です。
私用分は「(借)事業主貸/(貸)減価償却費」で振り替えます。会計ソフトの家事按分の機能を使う方法もあります。
ここまでの例は、新品で買ったパソコンを前提にしています。中古で買ったパソコンの場合、転用後の耐用年数は、中古資産の見積もりや簡便法で計算できるルールがあります。
購入金額によっては、10万円未満の一括経費や、3年で償却する一括償却資産、青色申告の少額減価償却資産の特例が気になりますよね。転用した資産にこれらが使えるかどうかは、取扱いの確認が必要です。使いたいときは、必ず税務署か税理士さんに確認してください。
パソコンといっしょに、モニターやチェアも私用から転用する場合は、資産ごとに耐用年数や取得価額を分けて計算します。
参考:国税庁 タックスアンサー No.2109/No.2108/質疑応答事例「非業務用資産を業務の用に供した場合」(本記事は2026年10月時点の情報をもとにしています)
未償却残高の計算は、最初の1回だけです。ただ、そのあとの減価償却費は毎年計上することになります。
クラウド会計ソフトなら、固定資産として登録しておくと、償却費の計算を任せられるものが多いです。年会費がかかるのはデメリットですが、手書きに比べると手軽で、パソコン・スマホ・マイナンバーカードがあれば、家から一歩も出ずに確定申告まで進められます。入力方法はソフトごとに違うので、お使いのソフトの案内に沿って進めてください。
質問に答えていくと、仕訳が自動で作られるタイプの会計ソフトです。簿記になじみがなくても、まず記帳を始めたい人に向いています。
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- 私用のパソコンを仕事用にしたら、買った金額ではなく「未償却残高」を(借)工具器具備品で仕訳します。
- 貸方は、開業日の転用なら「元入金」、開業後の転用なら「事業主借」です。
- 未償却残高は「取得価額 - 取得価額 × 0.9 × 旧定額法の償却率 × 経過年数」で計算します。パソコンは耐用年数4年を1.5倍した6年(償却率0.166)を使います。
- 転用後は定額法(耐用年数4年・償却率0.250)で、使いはじめた月からの月割で償却します。
- 家族と共用なら家事按分を忘れずに。10万円未満などの特例を使いたいときは、税務署か税理士さんに確認しましょう。
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