2026年7月28日、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生しました。地震などの災害で車中避難や避難所生活を送る場合は、エコノミークラス症候群への注意が必要だといわれています。
ニュースで名前を見聞きしたことはあっても、実際にどんな病気なのか、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エコノミークラス症候群の概要や主な症状、治療法、そして似た症状が出る病気について、わかりやすくまとめました。
気になる症状があるときに、受診の目安を考える参考にしていただけたら幸いです。
- エコノミークラス症候群がどんな病気か
- 見逃したくない初期症状のサイン
- 病院で行われる主な治療法
- 症状が似ている、注意したい病気
エコノミークラス症候群は、正式には“肺血栓塞栓症”と呼ばれる病気です。
脚の静脈にできた血のかたまり(血栓)が、血流に乗って肺の血管に詰まってしまう状態を指します。
飛行機の狭い座席で長時間同じ姿勢を取り続けることが原因になりやすいため、この呼び名がつきました。
ただし、原因は飛行機の搭乗だけに限りません。
車中泊や災害時の避難生活、長時間のデスクワークなど、日常のさまざまな場面でも同じ仕組みで起こる可能性があります。
医学的な呼び方である「肺血栓塞栓症」は、脚の静脈にできる「深部静脈血栓症」と、その血栓が肺に流れ着く「肺塞栓症」を合わせた状態を指します。
ニュースなどでは「エコノミークラス症候群」という呼び方が使われることが多いため、この記事でも同じ呼び方で解説していきます。
実際に、熊本地震後の報道では、避難生活中の脱水や車中泊による発症リスクが取り上げられ、排尿の回数や量、色から脱水の状態を確認することなどが呼びかけられていました。
日本呼吸器学会によると、肺血栓塞栓症は発症早期の死亡率が約10〜30%とされており、決して珍しい病気ではないものの、油断はできない病気です。
一方で、早めに気づいて適切な処置を受ければ、回復が見込める病気でもあります。
まずは「どんな仕組みで起こる病気なのか」を知っておくことが、いざというときの落ち着いた行動につながります。
- 長時間座ったまま動かない(飛行機・車・デスクワークなど)
- 水分をあまり摂れていない
- 手術や出産の直後で安静にしている
- 妊娠中、またはピルを服用している
- 肥満や喫煙の習慣がある
症状は、血栓ができている“脚”と、血栓が流れ着いた“肺”で、それぞれ異なるサインとしてあらわれます。
脚の静脈に血栓ができると、次のような症状がみられることがあります。
- 片方の脚だけが腫れる
- ふくらはぎに痛みや押したときの痛みがある
- 皮膚が赤黒く変色したり、熱っぽく感じたりする
両脚ではなく「片脚だけ」に症状が出ている場合は、特に注意が必要とされています。
脚にできた血栓が剥がれて肺の血管に詰まると、次のような症状が急にあらわれることがあります。
- 突然の息切れや、呼吸のしづらさ
- 胸の痛みや圧迫感
- 動悸やめまい
- 意識が遠のくような感覚
立ち上がった瞬間や、動き出した直後に症状が急に現れることが多いといわれています。
胸の痛みや強い息苦しさがあるときは、我慢せず救急要請を検討してください。
重症の場合、命に関わる状態に進行することがあるためです。
前述の報道でも、胸の痛みがあればすぐに救急車を呼ぶことが呼びかけられていました。
長時間座ったままの移動や避難生活のあと、脚の腫れや痛みが続く場合は、循環器内科や血管外科、またはそれらを標榜するクリニックなどへの受診が目安になります。
受診すると、脚の血管を調べる超音波(エコー)検査や、血栓の有無を推測する血液検査(Dダイマー)などが行われることが多いです。
突然の息切れや胸の痛みがある場合は、外来を待たず、救急外来や救急要請を検討してください。
「これくらいなら様子を見よう」と我慢しすぎず、気になる段階で相談することが、重症化を防ぐことにつながります。
治療法は、症状の程度や血栓ができている場所によって異なります。
多くの場合、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」による治療が中心になります。
ワルファリンなどの薬を、医師の指示のもと一定期間服用するのが一般的です。
血栓が大きい場合や重症の場合には、血栓を溶かす薬や、カテーテルを使った治療、外科的な処置が検討されることもあります。
予防や再発防止のために、弾性ストッキングの着用がすすめられることもあります。
気になる症状がある場合は、自己判断をせず、循環器内科や血管外科などの医療機関に相談することをおすすめします。
症状の感じ方には個人差があるため、少しでも不安があれば早めに相談しておくと安心です。
エコノミークラス症候群の症状は、他の病気とも似ていることがあります。
次のような病気でも、同じような症状が出ることがあるため、自己判断は避けたいところです。
- 狭心症・心筋梗塞:胸の痛みや圧迫感が主な症状です。
- 気胸:突然の息切れや、片側の胸の痛みが起こります。
- 蜂窩織炎:片脚の腫れや熱感、赤みがみられます。
- 心不全:脚のむくみが続くことがあります。
- パニック障害:動悸や息苦しさ、めまいを伴うことがあります。
症状だけで自己判断して区別するのは難しいため、気になる症状が続く場合は、医療機関に相談しましょう。
特に、胸の痛みと息切れが同時に起こっている場合は、エコノミークラス症候群のほかにも命に関わる病気が隠れている可能性があります。
「様子を見ればよくなるはず」と自己判断せず、症状が続くようであれば、早めに医療機関を受診してくださいね。
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エコノミークラス症候群は、飛行機だけでなく、車中泊や災害時の避難生活、デスクワークなどでも起こり得る身近な病気です。
片脚だけの腫れや痛み、皮膚の変色に注意しましょう。
突然の息切れや胸の痛みがあるときは、我慢せず医療機関へ。
こまめな水分補給と、脚を動かす習慣が予防につながります。
気になる症状が続く場合は、無理をせず、早めに医療機関に相談してくださいね。


