俳優の品川徹さんが、8月29日に90歳で亡くなったと所属事務所から発表されました。
「白い巨塔」や「ドラゴン桜」など、数々の作品でおなじみだった方だけに、驚かれた方も多いのではないでしょうか。
今回の発表では、かねてより「リンパ腫」の療養中だったこともあわせて明らかにされています。
「リンパ腫」という病名を聞いたことはあっても、どんな病気で、どんな症状が出るのかまでは詳しく知らないという方も多いかもしれません。
この記事では、リンパ腫の基礎知識から、主な症状、受診の目安、治療法、似た症状が出る病気までを詳しく解説していきます。
- リンパ腫とはどんな病気なのか
- リンパ腫でみられる主な症状
- 病院を受診する目安
- リンパ腫の主な治療法
- 似た症状が出る病気との違い
リンパ腫は、血液のがんの一種です。
体を守る免疫のはたらきを担っている「リンパ球」ががん化することで起こります。
首やわきの下、足の付け根などにあるリンパ節が腫れるのが特徴で、多くの場合、痛みをともないません。
リンパ腫は大きく分けると、「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2つに分類されます。
日本人の場合、90%以上が非ホジキンリンパ腫といわれています。
非ホジキンリンパ腫は、がん化したリンパ球の種類によって、B細胞リンパ腫・T細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫などに分けられ、細かく分類すると100種類近いタイプがあるとされています。
発症の年代は高齢の方に多く、70歳代が発症のピークとされています。
高齢化にともなって、患者数は年々増加傾向にあるといわれています。
まれに、お子さんや若い世代で発症することもあり、国内では1年間におよそ100〜200人の子どもがリンパ腫と診断されているという報告もあります。
リンパ腫が、なぜ発症するのか、明確な原因はまだわかっていません。
そのため、確実な予防法があるわけではなく、体調の変化に気づいたときに、早めに医療機関を受診することが、いまできる一番の対策といえそうです。
リンパ腫の症状は、リンパ節が腫れる場所や、病気の広がり方によってさまざまです。
もっとも多くみられるのが、首・わきの下・足の付け根などにあるリンパ節の腫れやしこりです。
これらの腫れは、風邪をひいたときのリンパ節の腫れとは異なり、押しても痛みを感じにくいことが特徴とされています。
また、自然に引くことなく、徐々に大きくなっていく傾向がある点も見分けるポイントのひとつです。
病気が全身に広がると、次のような症状がみられることがあります。
・原因のわからない38℃以上の発熱が続く
・暑くないのに大量の寝汗をかく
・数か月のあいだに体重が大きく減る
・体のだるさが続く
・皮膚に発疹やしこりのようなものが出る
これらは「B症状」とも呼ばれ、病気の広がりを考えるうえで、医師が重視する症状のひとつとされています。
なお、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断の血液検査やレントゲン検査で偶然見つかるケースも少なくありません。
くびやわきの下のリンパ節に、痛みのない腫れやしこりを感じたときは、自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
2〜3週間たっても腫れが引かない、むしろ大きくなっているときは、注意しておきたいサインのひとつです。
発熱や寝汗、体重減少など、いくつかの症状が重なっているときは、なおさら早めの受診を心がけましょう。
なお、リンパ節が腫れているからといって、必ずしもリンパ腫であるとは限りません。
風邪や他の感染症でも、リンパ節は腫れることがあります。
気になる症状があるときは、自己判断せず、医療機関で必要な検査を受けることが安心につながります。
症状が2週間以上続く場合や、発熱・寝汗・体重減少など複数の症状が同時に出ている場合は、様子を見すぎず、早めに内科や血液内科を受診してください。
気になる症状があって受診すると、まず問診や触診で、リンパ節の腫れの場所や大きさを確認します。
そのうえで血液検査を行い、白血球や肝臓・腎臓の状態、LDH(乳酸脱水素酵素)などの数値を調べます。
必要に応じて、CTなどの画像検査で、リンパ節の腫れの広がりを確認することもあります。
最終的な診断は、腫れているリンパ節の組織を採取して顕微鏡で調べる「生検」によって確定します。
検査にはいくつかの段階があり、少し時間がかかることもありますが、正確な診断があってこそ、その後の治療方針が決まります。
不安な気持ちになることもあるかもしれませんが、ひとつずつ検査を進めていくことが、安心につながる第一歩です。
リンパ腫は血液のがんであるため、外科手術ではなく、薬を使った治療が中心になります。
抗がん剤や分子標的薬を組み合わせる「多剤併用療法」が、標準的な治療として行われています。
非ホジキンリンパ腫では、複数の抗がん剤とステロイドを組み合わせるCHOP療法や、これに分子標的薬のリツキシマブを加えたR-CHOP療法などが選択されることがあります。
ホジキンリンパ腫では、ABVD療法と呼ばれる多剤併用療法が中心となり、病期によっては放射線治療を組み合わせる方法がとられることもあります。
治療法は、リンパ腫のタイプや進行の程度、患者さんの体の状態によって異なるため、担当医とよく相談しながら決めていくことになります。
また、必要に応じて、あらかじめ採取しておいた自分の造血幹細胞を用いる移植治療が検討されることもあります。
リンパ腫は、悪性腫瘍の中でも薬物療法の進歩が著しい分野のひとつとされており、早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できるケースもあるといわれています。
現時点で確実な予防法はわかっていないため、気になる症状が続くときは、早めに医療機関を受診することが大切です。
リンパ腫の初期症状は、発熱や倦怠感など、ほかの病気とも共通する点が多くあります。
症状だけで見分けるのは難しいため、次のような病気との違いも知っておくと安心です。
・インフルエンザやかぜ:発熱や倦怠感が似ていますが、通常は数日〜1週間程度で症状が落ち着く点が異なります
・貧血:立ちくらみやだるさが似ていますが、リンパ節の腫れやしこりをともなわない点が異なります
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病など):倦怠感や体重減少が似ていますが、動悸や手のふるえなど、別の症状をともなうことが多いといわれています
・結核などの感染症:発熱やリンパ節の腫れが似ていますが、検査で原因菌の有無を確認することで区別されます
・ほかの臓器から広がったがん(転移):リンパ節が硬く腫れる点は似ていますが、原発巣の検索や組織検査によって区別されます
いずれの病気も、症状だけで自己判断することは難しいものです。
気になる症状が続くときは、医療機関を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。
- リンパ腫は、リンパ球ががん化して起こる血液のがんの一種です
- 首やわきの下などのリンパ節が、痛みをともなわずに腫れるのが特徴です
- 発熱や寝汗、体重減少などをともなうこともあります
- 治療の中心は、抗がん剤や分子標的薬による薬物療法です
- 気になる症状が続くときは、自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう
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- 国立がん研究センター「リンパ腫の原因・症状について」
https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/Lymphoma/001/index.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「MALTリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫など」
https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html - 国立成育医療研究センター「リンパ腫 Q&A」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/lymphoma_qa.html


