大人のはしか(麻しん)の症状|子どもと何が違う?

健康コラム

2025年7月6日。

6月に大阪万博を訪れた10代の男性が、はしか(麻しん)に感染していたことが報じられました。⁡

発症前にシャトルバスや複数のパビリオンを訪れていたことから、同時間帯に会場にいた人たちにも注意が呼びかけられています。

はしか(麻しん)は「子どもがかかる病気」と思われがちですが、大人が感染すると重症化しやすく、症状が強く出ることもあるのが特徴です。

この記事では、大人がはしかに感染した場合にみられる症状や、子どもとの違いについてわかりやすく解説します。

はしか(麻しん)とは?

はしか(麻しん)とは、麻しんウイルスによって引き起こされる、感染力の非常に強い病気です。

空気中にウイルスが漂うことで感染が拡大するため、同じ空間にいるだけでも感染する可能性があります。

感染すると、発熱や咳(せき)、鼻水といった風邪のような症状が出始め、数日後には赤い発疹が全身に広がります

大人がかかると、重症化しやすく合併症のリスクも高まるため、注意が必要です。

過去にはしか(麻しん)にかかった経験がない方や、ワクチン接種が不十分な方(ワクチン接種を受けたが、十分な免疫がつかなかった方)は、はしか(麻しん)に対する免疫を持っていないこともあります。

はしか(麻しん)の感染経路は?空気感染が最大の特徴

はしか(麻しん)は空気感染する数少ない感染症のひとつです。

感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスが空気中に広がり、それを吸い込むことで体内に入り込みます。

さらに、飛沫(ひまつ)感染や接触感染も起こりうるため、非常に感染力が高いのが特徴です。

同じ空間にいるだけでも感染する可能性があり、マスクや手洗いでは防ぎきれないことも。

つまり、はしか(麻しん)は「距離をとっていても感染するリスクがあり、発症率も高い感染症」です。

大人のはしか(麻しん)にみられる主な症状

はしか(麻しん)は風邪のような症状から始まり、さまざまなサインが順にあらわれます。

特に、大人では症状が強く出る傾向があるため注意が必要です。

高熱(38〜40℃前後)

大人のはしか(麻しん)では、38〜40℃前後の高熱が数日間続くのが一般的です。

ウイルスに対する体の反応が強く出やすく、子どもよりも発熱の程度が重くなる傾向があります。

なかには、一度熱が下がってから再び上がる「二峰性発熱(にほうせいはつねつ)」がみられることも。

全身の倦怠感(だるさ)や頭痛をともなうケースも多く、日常生活に支障が出やすい症状のひとつです。

全身の赤い発疹

はしか(麻しん)の代表的な症状のひとつが、赤い発疹です。

発熱から2〜4日ほど経ってから顔にあらわれ、次第に首・胸・お腹・腕や足など全身へと広がっていきます

発疹はやや盛り上がりがあり、触るとザラつきを感じることもあります。

かゆみをともなう場合もあり、皮膚が敏感になる方も少なくありません。

見た目の変化に不安を感じる方もいるかもしれませんが、数日〜1週間ほどで自然に回復していくのが一般的です。

咳・鼻水・くしゃみ

はしか(麻しん)は、風邪のような初期症状から始まることが多く、なかでも咳(せき)・鼻水・くしゃみがよくみられます

これらの症状はウイルスが呼吸器に炎症を起こしているサインで、発熱や発疹よりも先に出てくるケースもあります。

結膜炎(目の充血・まぶしさ)

はしか(麻しん)にかかると、結膜炎(けつまくえん)の症状があらわれることがあります。

目が充血する光がまぶしく感じる涙が出やすくなるといった症状が特徴です。

発熱や咳と同じ頃に出ることが多く、「風邪とは違う」と気づくきっかけにもなります。

大人の場合、目の不快感が強く、スマホやパソコンの画面を見るのがつらくなることも。

はしか(麻しん)のサインのひとつとして、見逃さないようにしましょう。

口の中の白い斑点(コプリック斑)

はしか(麻しん)特有のサインとして知られているのが、口の中にできる白い斑点「コプリック斑(はん)」です。

発熱や咳が出始めた頃に、頬の内側の粘膜に小さな白い点があらわれるのが特徴です。

一見すると口内炎のように見えることもありますが、はしかの初期にのみ見られる特徴的な症状とされています。

大人が感染した場合でもこの斑点が確認されることがあり、早期診断の手がかりになることがあります。

見つけた際は、できるだけ早く受診しましょう。

大人のはしか(麻しん)の特徴|子どもより重症化しやすい!

大人のはしか(麻しん)は、子どもよりも重い症状が出やすく、回復にも時間がかかる傾向があります。

合併症のリスクにも注意が必要です。

症状が強く長引きやすい

大人がはしか(麻しん)にかかると、子どもよりも症状が強く出やすく、回復までに時間がかかる傾向があります。

これは、子どもに比べて大人のほうがウイルスに強く反応しやすいことが関係しているといわれています。

高熱が長引いたり、咳や全身のだるさが強く出て、仕事や家事が手につかなくなるほどつらく感じる人も少なくありません。

発疹が消えてもしばらく体調が戻らないこともあるため、無理せず安静に過ごすことが大切です。

合併症を起こすリスクが高い

大人がはしか(麻しん)にかかると、肺炎や中耳炎(ちゅうじえん)、脳炎(のうえん)などの合併症を引き起こすリスクが高まります。

特に、基礎疾患がある方免疫力が低下している方では、重症化する可能性があるため注意が必要です。

発疹が広範囲に出やすい

大人のはしか(麻しん)では、発疹が顔だけでなく、首や胴体、手足など広範囲に広がりやすいのが特徴です。

皮膚が敏感になり、かゆみや違和感を強く感じることもあります。

なかには、発疹のあとがしばらく残ってしまうケースも。

発疹が出たら、肌を清潔に保ち、刺激を避けて過ごしましょう。

はしか(麻しん)の予防法|大人もワクチン接種が必要?

はしか(麻しん)を防ぐには、ワクチン接種がもっとも効果的な手段です。

多くの方は、子どもの頃に1回または2回のワクチン接種を受けていますが、年代によっては接種歴がはっきりしない場合もあります。

特に1960年代後半から1970年代生まれの方は、2回接種が一般的でなかった世代とされており、十分な抗体(こうたい)がついていない可能性があります

過去の記録がわからない場合は、医療機関で抗体検査を受けて、免疫がしっかり定着しているかを確認しておくと安心です。

まとめ|大人のはしか対策は、予防接種と日常の予防習慣から

はしか(麻しん)は、子どもだけでなく大人でも感染する可能性がある病気です。

大人が発症すると、症状が強く出たり、合併症を伴ったりすることがあり、重症化するリスクが高くなります。

特に、ワクチンを2回接種していない世代では、免疫が不十分な場合があり、感染しやすいとされています。

接種歴があいまいな方は、医療機関で抗体検査を受け、必要であれば再接種を相談してみましょう。

併せて、手洗いやマスクの着用など、日常的な感染対策も忘れずに行うことが大切です。

普段から予防を心がけることが、はしか(麻しん)から自分自身と身近な人を守ることにつながります。

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