尿酸値はなぜ上がる?高尿酸血症の原因と対策のポイント

健康コラム

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が基準値を超えている状態です。

尿酸は、体内でプリン体が代謝される際に生成される老廃物の一種ですが、食習慣やストレス、激しい運動などでも尿酸値が上昇する可能性があります。

尿酸値が高い状態は、痛風や腎臓病などの病気を引き起こす可能性があるため、高尿酸血症の予防と早めの対処が重要です。

この記事では、尿酸値が上がる原因とその予防方法、日常生活でできる具体的な対策について解説します。

高尿酸血症を正しく理解し、健康的な生活を維持するためのポイントをしっかり押さえましょう。

高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、血液中の尿酸(にょうさん)の濃度が基準値を超えた状態を指します。

尿酸は、体内の老廃物のひとつで、主にプリン体(たんぱく質の一種)が分解されてできる物質です。

通常は腎臓から尿として排出されますが、産生量が増えたり排出がうまくいかなくなると、血中にたまりやすくなります。

この状態が続くと、関節に尿酸が結晶化して「痛風(つうふう)」と呼ばれる激しい関節痛を引き起こしたり、腎臓に結石(けっせき)をつくることも。

健康診断などで尿酸値が高めと言われた場合、放置せず生活習慣の見直しを意識することが大切です。

高尿酸血症の主な症状

高尿酸血症の初期段階では自覚症状がないことが多く、ご自身でも気付かないうちに病気が進行しているケースが少なくありません。ここでは、高尿酸血症で起こりうる症状を具体的に解説します。

痛風発作

突然の激しい痛み

痛風発作は、突然あらわれる激しい痛みが特徴です

この痛みは、尿酸が関節内に結晶としてたまり、炎症を引き起こすことで発生します。

何の前触れもなく深夜や早朝に襲ってくるケースが多く、目が覚めるほどの鋭い痛みをともないます

足の親指の付け根などに耐えがたい痛みを感じ、少し触れただけでも激しく反応するほどの感覚になります。

冷やしたり動かさないようにしても、痛みは数日続くことがあり、日常生活に大きな支障をきたす場合もあります。

症状があらわれやすい部位は足の親指

痛風発作は、足の親指の付け根に出やすいことで知られています。

その理由は、足先が体の末端にあり、温度が低くなりやすいため、尿酸の結晶がたまりやすい環境だからです。

実際には、歩くたびに痛みが走り、靴を履くのもつらくなることがあります。

赤く腫れあがり、軽く触れるだけでも激痛を感じることもめずらしくありません。

痛みの持続期間

痛風発作による痛みは、数日から長くて1週間程度続くことが多いです。

これは、関節内にたまった尿酸の結晶が炎症を引き起こし、回復までに時間がかかるためです。

発作の初日は特に痛みが強く、2〜3日かけて徐々に軽減するケースが一般的です。

ただし、適切な治療を受けずに放置すると、発作の間隔が短くなり、慢性化することもあります。

短期間で収まるからと軽視せず、繰り返さないよう対策をとることが大切です。

腫れと熱感

痛風発作では、関節が腫れて熱を帯びるのが特徴的な症状のひとつです。

これは、尿酸の結晶が関節内に沈着し、炎症反応を引き起こすため。

足の親指の付け根が真っ赤に腫れ、触れると熱っぽく感じることも。

痛みに加えてこの腫れと熱感があることで、靴が履けなくなったり、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

可動域の制限や歩行困難

痛風発作が起こると、関節の動きが制限され、歩くのも困難になることがあります。

腫れや痛みによって関節がうまく動かせなくなるためです。

足の親指に症状が出ると、わずかな体重移動でも強い痛みを感じ、階段の上り下りや外出が難しくなることもあります。

場合によっては、関節をかばうあまり体のバランスが崩れ、転倒のリスクが高まることもあるため、早めの治療が大切です。

尿酸結石

背中やわき腹、下腹部の痛み

尿酸結石は、腎臓や尿管に尿酸の結晶がたまって石のようになることで起こります。

その際に、背中・わき腹・下腹部に鋭い痛みが生じるのが特徴です

例えば、尿管内で結石が動くと、神経を刺激して突然激しい痛みが走ります。

じっとしていても楽にならず、体勢を変えても痛みが続くため、思わずうずくまる人もいるほどです。

痛みの部位や強さには個人差がありますが、強い違和感を覚えたら早めに受診しましょう。

下腹部の膨満感・緊満

結石が尿の通り道をふさぐと、下腹部に張ったような違和感や圧迫感を覚えることがあります

これは、尿がスムーズに排出されず、膀胱や尿管に負担がかかるためです。

トイレに行ってもすっきりせず、お腹が重く感じたり、キリキリとした緊張感が続く場合があります。

排尿障害

尿酸が高い状態が続くと腎機能の低下を引き起こし、尿が作られにくくなります。

尿の生成・排出が妨げられることで、排尿困難や尿量の減少、頻尿といった排尿障害の症状がみられます。

尿酸値が上がる原因

尿酸値の上昇には、食生活の乱れやアルコールの過剰摂取、肥満、ストレス、そして遺伝的要因が関連しています。

特に、プリン体を多く含む食品や飲料を頻繁に摂取することで、体内の尿酸生成が促進され、血中に尿酸が蓄積されます。

高尿酸血症を放置すると、痛風や腎臓病、尿路結石などを引き起こすリスクが高まるため、早めの対策が重要です。

体内の尿酸生成メカニズム

尿酸は、体内で自然に作られる老廃物のひとつです。

主に細胞の新陳代謝や、プリン体(たんぱく質の一種)の分解によって生じます。

通常は、肝臓で生成された尿酸が腎臓を通じて尿として排出されますが、生成量が多すぎたり、排出がうまくいかない場合、血液中に尿酸がたまりやすくなります。

激しい運動や過度なストレス、肥満などが原因で代謝バランスが乱れると、尿酸値が上昇することがあるため注意が必要です。

食習慣と尿酸値の関係:プリン体の影響とは?

食生活の中で摂取するプリン体は尿酸に変化するため、摂りすぎると尿酸値が上がりやすくなります。

動物の内臓や魚卵、干物などに特に多く含まれています。

ほかにも、レバーや白子、あん肝、イワシの干物などは、プリン体が多く含まれる食品の代表例です。

こうした食品を頻繁に食べる習慣があると、体内の尿酸量が増えやすくなります。

運動不足がもたらす高尿酸血症のリスク

運動不足は、尿酸値の上昇を招く原因のひとつです

体を動かさない生活が続くと、代謝が落ち、尿酸の排出機能も低下してしまいます。

例えば、デスクワークが中心の生活で、ほとんど歩かない日が続くと、エネルギー消費が少なくなり、尿酸が体内にたまりやすくなります。

さらに肥満や内臓脂肪の増加も、尿酸値を押し上げる要因となります。

軽い運動でも、毎日続けることが大切です。

アルコール摂取と尿酸値上昇の関連性

アルコールの摂りすぎは、尿酸値の上昇につながります。

これはアルコールの代謝過程で尿酸の排出が妨げられたり、体内での生成が促進されたりするためです。

また、ビールにはプリン体(たんぱく質の一種)が多く含まれており、日本酒や焼酎でも大量に飲むと代謝に負担がかかって尿酸がたまりやすくなります。

さらに飲酒による脱水も、尿酸濃度の上昇を助長するため、飲酒は適度な範囲を心がけることが大切です。

ストレスが引き起こす尿酸値の変動とその影響

強いストレスを感じると、尿酸値が一時的に上昇することがあります。

これは、ストレスによって交感神経が活発になり、代謝バランスが乱れるためです。

忙しさやプレッシャーが続くと、体内で乳酸が増え、尿酸の排出が妨げられてしまいます。さらに過食や飲酒など、ストレス発散の行動が尿酸値を押し上げることも。

尿酸管理には、心身を整えることも欠かせません。

高尿酸血症を改善・予防するためのポイント

高尿酸血症の改善と予防には、生活習慣の改善が重要です。

ここでは、日々の生活に取り入れられる簡単な対策法をご紹介します。

生活習慣や尿酸値に不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

プリン体を多く含む食品を控える

尿酸値を下げるには、プリン体の摂取を控えることが大切です。

プリン体は尿酸の材料になるため、過剰に摂ると血中濃度が上がりやすくなります。

具体的には、レバー・白子・あんこうの肝などの内臓類や、イワシ・サンマの干物、魚卵類に多く含まれます。

これらを毎日のように食べ続けると、尿酸の排出が追いつかず、結晶化のリスクも高まります。

完全に避ける必要はありませんが、食べ過ぎには注意し、頻度や量を見直すことが予防への第一歩です。

バランスのとれた食事

高尿酸血症の改善には、栄養バランスのとれた食事を心がけることが基本です

特定の食品を控えるだけではなく、全体的な食生活の見直しが重要になります。

例えば、野菜や海藻類をしっかり摂ると、体内の尿酸排出をサポートできます。

肉や魚は適量にし、炭水化物や脂質も偏らないように調整することで、代謝のバランスも整います。

アルコールの摂取は適量を守る

尿酸値の管理には、アルコールの量を見直すことも大切です。

アルコールは尿酸の生成を促し、さらに排出を妨げる作用もあるため、飲みすぎはリスクを高めます。

ビールにはプリン体が多く含まれており、日本酒や焼酎なども量が増えると代謝に負担がかかります。

さらに、飲酒により脱水が進むと、尿酸が体にたまりやすくなることもあります。

完全にやめる必要はありませんが、適量を意識し、週に数日は休肝日を設けるなど、無理なく続けられる工夫を取り入れましょう

十分な量の水分摂取

尿酸値を下げるには、水分をしっかりとることが欠かせません

体内の尿酸は、主に尿として排出されるため、水分不足は排出力の低下を招きます。

もしも暑い日に水をあまり飲まずに過ごすと、尿の量が減り、尿酸が体にたまりやすくなります。

1日1.5〜2リットルを目安に、無理のない範囲で水やお茶などをこまめにとる習慣を身につけましょう。

適度な運動

尿酸値をコントロールするには、日常的な運動も欠かせません。

運動によって代謝が活発になり、尿酸の排出を助けてくれます。

たとえば、30分程度のウォーキングや軽いストレッチを毎日続けるだけでも、体の循環がよくなり、肥満の予防にもつながります。

無理な筋トレや激しい運動は逆効果になることもあるため、ゆるやかな運動が理想です。

ストレス管理

高尿酸血症の予防には、心のケアも大切です。

強いストレスがかかるとホルモンバランスが乱れ、尿酸の代謝や排出に影響を与えることがあります。

たとえば、忙しさで休めない日が続くと、過食や飲酒に走りがちになり、それが尿酸値の上昇につながることもあります。

深呼吸をしたり、好きな音楽を聴いたりするだけでも、心身の緊張がやわらぎますよ。

完璧を目指さず、リラックスできる時間を意識的に持つことが、体のバランスを保つ秘訣です。

まとめ

尿酸値が高くなる背景には、食習慣や運動不足、アルコール、ストレスなど、日常生活のさまざまな要素が関係しています。

放っておくと、痛風や尿路結石などのトラブルにつながることもありますが、生活を少し見直すだけでも改善は期待できます。

まずは、プリン体を多く含む食品やアルコールの量を意識し、水分や運動、リラックスできる時間を日常に取り入れてみましょう。

完璧を目指すより、できることから始めることが大切です。

気になる症状がある場合は、早めに医師に相談することも安心につながります。

無理なく続けられる対策で、心と体の健康を守っていきましょう。

参考文献

高尿酸血症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

高尿酸血症/痛風 | 生活習慣病

高尿酸血症|循環器病編|気になる病気・健康のこと

痛風・高尿酸血症

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