近年、男性のがんの中で特に増加しているのが「前立腺がん」です。
高齢になるほど発症率が上がり、早期のうちは自覚症状がほとんどないのが特徴です。
健康診断や人間ドックで偶然見つかることも多く、定期的な検査が大切です。
概要
前立腺がんとは、膀胱の下にある前立腺という臓器にがん細胞が発生する病気です。
前立腺は男性ホルモン(テストステロン)の影響を受けやすく、加齢とともに細胞が異常増殖しやすくなります。
- 発症のピークは60歳以降
- 多くは進行がゆるやか(低悪性度)
- 早期発見で治療すれば完治が期待できる
食生活の欧米化や高齢化が進むにつれ、日本でも患者数が年々増えています。
主な症状
早期の前立腺がんでは自覚症状がほとんどありません。
がんが進行して前立腺や尿道を圧迫すると、次のような症状が現れることがあります。
- 尿の勢いが弱くなる
- トイレに行っても出きらない感覚がある
- 夜間の頻尿(ひんにょう)が増える
- 尿や精液に血が混じる
- 骨転移(こつてんい)による腰や背中の痛み
似た症状が出る「前立腺肥大症」と区別がつきにくいため、検査で確定診断を行うことが重要です。
主な治療法
前立腺がんの治療は、がんの進行度や年齢、体力などを総合的に判断して選ばれます。
- 経過観察(けいかかんさつ):進行が遅い場合、定期的な検査で状態を見守る
- 手術療法:前立腺全摘出術(ぜんてきしゅつじゅつ)でがんを取り除く
- 放射線療法:体外照射または前立腺内に線源を埋め込む方法(小線源療法)
- ホルモン療法:男性ホルモンの作用を抑えてがんの増殖を防ぐ
- 化学療法:進行がんや転移がある場合に使用
早期であれば体への負担が少ない治療を選択できるため、早期発見が何よりも重要です。
予防・セルフケア
完全に防ぐことは難しいものの、生活習慣を整えることでリスクを減らすことができます。
- 野菜や魚を中心にしたバランスのよい食事を心がける
- 肥満を防ぎ、適正体重を維持する
- 禁煙を徹底する
- 定期的な運動で血流を促す
- 50歳を過ぎたら、PSA(ピーエスエー:前立腺特異抗原)検査を受ける
早期に見つければ完治する可能性が高いがんなので、定期的な検診を習慣にしましょう。
まとめ
前立腺がんは、高齢男性に多く見られる病気ですが、早期に見つければ治療で十分に回復が期待できます。
普段から食生活や運動習慣を整え、50歳以降はPSA検査を定期的に受けることが、最良の予防につながります。
少しでも排尿の違和感を感じたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。