男性特有のがんの中でも、比較的若い世代に多いのが「精巣腫瘍(睾丸がん)」です。
20〜40代の男性に多く発症し、自覚症状が乏しいまま進行することもあります。
早期発見すれば治療成績が高い病気のため、日頃から自分の体に目を向けておくことが大切です。
概要
精巣腫瘍とは、男性の生殖器である精巣(睾丸)にできる悪性腫瘍のことです。
発症のはっきりした原因は分かっていませんが、いくつかの要因が関係していると考えられています。
- 停留精巣(ていりゅうせいそう:精巣が陰嚢に降りてこない状態)の既往
- 家族に精巣腫瘍の患者がいる
- 白人や欧米人に多く、日本人でも増加傾向
左右どちらか一方に発症することがほとんどですが、まれに両側に生じることもあります。
主な症状
初期には痛みがないことが多く、気づかないまま時間が経つケースもあります。
次のような変化を感じたら、早めの受診をおすすめします。
- 陰嚢(いんのう:睾丸を包む袋)の片側が腫れる、または硬くなる
- 睾丸にしこりや重だるさを感じる
- 腰や背中に痛みが出る(転移による症状)
- 体のだるさ、体重減少
痛みがないからと放置してしまうと、転移が進む場合があるため注意が必要です。
主な治療法
精巣腫瘍の治療は、がんの種類や進行度によって異なりますが、早期であれば高い治癒率が期待できます。
- 手術療法:まずは腫瘍のある精巣を摘出(てきしゅつ)する
- 化学療法(抗がん剤治療):進行例や転移がある場合に行う
- 放射線療法:一部のタイプ(セミノーマ)で有効
- 経過観察:再発の兆候がないか定期的にチェック
精巣は1つ摘出してもホルモンや性機能に大きな影響は少ないことが多く、早期発見・治療が何より重要です。
予防・セルフケア
はっきりとした予防法はありませんが、自分で気づくことが早期発見の鍵となります。
- 入浴時などに、精巣の大きさや硬さを軽く触ってチェックする
- 左右で明らかな違いを感じたら、すぐに泌尿器科へ
- 禁煙とバランスの取れた食生活を心がける
- 運動不足を避け、免疫力を保つ
毎日の生活の中で「なんとなく違う」と感じたときに行動することが、自分の体を守る第一歩です。
まとめ
精巣腫瘍(睾丸がん)は、若い男性でも発症することがある病気です。
痛みがなくても異変を感じたら放置せず、早めに泌尿器科を受診しましょう。
早期に見つければ、治療によって十分に回復が望めます。
自分の体を知ることが、何よりの予防になります。