生理痛がつらい?月経困難症の原因や対処法をわかりやすく解説

メディカル

あなた自身やパートナー、お子様は、生理痛でお困りではありませんか?

強い生理痛で日々の活動が制限されている場合、それは月経困難症かもしれません。

月経困難症とは、生理中に強い下腹部痛や腰痛、吐き気、頭痛などが起こり、日常生活に支障をきたしている状態です。

症状の重さや感じ方は人によって異なり、学業や部活動、仕事などに影響を与えている場合もあります。

生理痛による苦痛を感じているのであれば、原因となり得る病気がないか、まずは婦人科で診察を受けてみましょう。

この記事では、月経困難症について、中学生や高校生のお子様にもわかりやすい内容で解説していきます。

性教育の一環としてもぜひご活用ください。

月経困難症とは?

月経困難症とは、生理中に強い下腹部痛や腰痛、頭痛などの症状が生じ、日常生活に支障をきたす状態を指します。

学業や部活動、仕事などに影響が出ている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

月経困難症には、以下の2種類があります。

機能性月経困難症:原因となる病気がない場合

婦人科系の病気がないにもかかわらず、症状が出るタイプです。

プロスタグランジン(子宮内膜から分泌される物質)が過剰に子宮を収縮させることで、下腹部痛や腰痛を引き起こします。 

生理が始まって1~2年のうちは、子宮や卵巣の未成熟さが原因で症状が出ている場合もあります。

器質性月経困難症:原因となる病気がある場合

婦人科系の病気が、強い症状を引き起こしている可能性があります。

子宮内膜症

子宮内膜とは、子宮の内側を覆っている組織のことです。

子宮内膜症は、本来子宮内にあるべき組織が、子宮の外側(卵巣や骨盤内の腹膜など)で増殖してしまう状態を指します。

はっきりとした原因はわかっていません。

生理の際は子宮外の異常な組織からも出血しますが、体外に排出されないため、炎症や癒着が起こって強い生理痛の原因となります。

子宮内膜症は不妊の原因にもなり得るため、早期発見と適切な治療が重要です。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の壁の筋肉が異常に増殖し、良性の腫瘍(こぶ)ができる病気です。

この腫瘍が大きくなると、生理の出血量が増えたり血のかたまりが出たりすることがあります。

子宮筋腫は、30~50歳代の女性の30~50%が少なくとも1個は持っているといわれる、頻度の高い病気です。

生理痛が強く経血の量や性状に不安がある場合は、婦人科で診察を受けてみましょう。

月経困難症の症状は、適切な治療や対処法を知ることで和らげることが可能です。

生理痛が強く日常生活に影響が出ている場合は、早めに専門の医師に相談することをおすすめします。

月経困難症の主な症状

月経困難症では、以下のような症状がみられることがあります。

  • 下腹部(お腹の下の部分)の痛み
  • 腰の痛み
  • 腹部膨満感(お腹が張る感じ)
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 体がだるい
  • 体に力が入らない感じ
  • 食欲の低下
  • イライラし、気分が不安定になる
  • 怒りっぽくなる
  • 下痢
  • 憂うつ(気分が落ち込む)

特に、下腹部痛や腰痛は多くの人が経験する症状です

生理中にこれらの症状が強くみられる場合は、月経困難症の可能性があります。

早めに専門の医師に相談してみましょう。

自分でできる!月経困難症の対処法

月経困難症の症状を和らげるためには、以下の方法があります。

生活習慣の改善

体を温める

下腹部や腰を温めると血行が良くなり、痛みが和らぐことがあります。

冷たい飲み物や食べ物を控え、温かい服装や入浴を心がけましょう。 

学校や職場では、下腹部や腰にカイロを貼るのもおすすめです。

適度な運動とリラックス法

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は血行を良くし、生理痛軽減の効果が期待できます。

また、ヨガやストレッチは筋肉の緊張を和らげるため、リラクゼーションの効果もあります。

好きな香りのアロマを使って、リラックスできる時間をつくるのもおすすめです。

バランスのよい食事と十分な睡眠

栄養バランスの取れた食事良質な睡眠は、体調を整える基本です。 

特に睡眠不足はホルモンバランスを乱し、症状を悪化させる可能性があります。

毎日の起きる時間と寝る時間はできるだけ固定し、生活リズムを整えましょう。

積極的に摂りたい食品
  • 緑黄色野菜
  • 海藻類
  • 豆類(大豆や納豆、豆腐など)
  • バナナ
  • 未精製の穀類(玄米・全粒粉のパンなど) 
控えたい食品
  • 砂糖
  • チョコレート
  • 塩分の多い加工食品
  • カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど)

ツボ押し

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの上にあるツボです。

押すと生理痛の緩和に効果があるといわれています。 

合谷(ごうこく)

手の親指と人差し指の間にあり、押すと痛みの軽減に役立つことがあります。

月経困難症の治療法

薬物療法

鎮痛剤(NSAIDs)

生理痛の原因となる物質(プロスタグランジン)のはたらきを抑える薬で、薬局やドラッグストアでも購入できます。

具体例として、ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)イブプロフェン(商品名:イブ)などがあります。

痛みを我慢できなくなってから内服するのではなく、痛みを感じたらすぐに服用すると効果的です。

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤)

低用量経口避妊薬(ピル・OC)と同様、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)という2種類の女性ホルモンが配合されています。

ホルモンバランスを調整し、排卵を抑えることで子宮内膜の増殖を抑制。生理痛や出血量を軽減する効果があります。

漢方薬

月経困難症の症状を和らげるため、体質や症状に合わせた漢方薬が処方されることもあります。

漢方薬とは、古代中国に起源を持つ伝統的な医薬品です。

西洋医学は症状や原因に直接アプローチするのに対し、漢方薬は、体全体のバランスを整えて自然治癒力を高めることを目指しています。

ここでは、月経困難症に用いられる主な漢方薬をご紹介します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

特徴:体力があまりなく、冷え性や貧血傾向がある方に適しています。

効果:血の巡りを良くし、水分バランスを整える効果があります。

   生理痛のほか、むくみや足腰の冷え症の改善にも役立ちます。 

加味逍遙散(かみしょうようさん)

特徴:ストレスを感じやすく、イライラ・不安感が強い方におすすめです。

効果:自律神経の乱れを整える効果があります。

   月経困難症や生理痛のほか、更年期症状やPMSなど、精神的な症状の緩和にも用いられます。 

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

特徴:体力が中程度で、体が温かい方に適しています。

効果:血の滞りを改善し、炎症を抑える効果があります。

   生理痛や生理不順、肩こり、冷え症などの改善にも役立ちます。 

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

特徴:筋肉のけいれんや痛みをともなう方におすすめです。体力に関係なく使用できます。

効果:生理時の子宮の収縮を和らげることで、生理痛を軽減する効果が期待できます。 

注意点

漢方薬の効果は、個人の体質や症状によって異なります。

自己判断での服用は避け、専門の医師や薬剤師に相談して適切な処方を受けましょう。

また、漢方薬にも副作用がみられる場合があります。

服用中に異常を感じたら、すぐに医療機関に相談してください。

子宮内避妊具(ミレーナ)

ミレーナとは、子宮内に装着する小さなT字型の器具で、月経困難症の治療や避妊具として用いられます。

この器具からは黄体ホルモン(レボノルゲストレル)が持続的に放出され、子宮内膜を薄く保つことで経血量を減らし、生理痛を和らげる効果があります。

効果の持続期間は、長くて5年程度といわれています。

装着時に痛みを感じることがあるほか、装着後に不正出血腹痛などの副作用が生じる場合もあるため、医師と十分に相談し、自分の体調や生活スタイルに合った治療法かどうかを確認することが重要です。

まとめ

月経困難症とは、生理中にお腹や腰の痛み、吐き気、頭痛などの症状があり、生活に支障をきたす状態のことです。

月経困難症には、以下の2つのタイプがあります。

  • 機能性月経困難症:病気が原因ではなく、ホルモンの影響で子宮が強く収縮して痛みが起こるタイプ
  • 器質性月経困難症:子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因で痛みが出るタイプ

生理痛を軽くするために、ご自身でできる方法として次のようなものがあります。

  • 体を温める(お腹や腰にカイロを貼る、温かい飲み物を飲むなど)
  • 軽い運動やヨガ
  • 好きな香りのアロマでリラックス
  • 栄養バランスのとれた食事
  • しっかり睡眠をとる

さらに、病院では以下のような治療を受けることもできます。

  • 鎮痛剤(痛み止めの薬)
  • ホルモンバランスを整える薬(LEP製剤)
  • 漢方薬
  • ミレーナ

もし生理痛がつらい場合は、我慢せずに婦人科を受診してみてください。

適切な治療を受けることで、生理の期間をもっと快適に過ごせるようになりますよ。

参考文献

https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E6%9C%88%E7%B5%8C%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E7%97%87
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/gyne/patient/detail/dysmenorrhea.html
https://www.jspog.com/general/details_67.html

参考情報

文字数:3,296文字
(タイトル・見出しを除く)

執筆者

Webライター|立岩 奈緒

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