脳梗塞の初期症状とは?早期発見のポイントや対処法について解説

メディカル

脳梗塞は、脳への血流が突然遮断されることで発生する深刻な病気です。

初期症状を見逃すと治療開始が遅れ、後遺症を引き起こす可能性が高くなります。

そのため、脳梗塞の初期症状をあらかじめ理解しておくことが極めて重要です。

この記事では、脳梗塞の主な初期症状を詳しく解説し、症状を迅速に見分けるためのポイントや、症状が現れた際の適切な対処法についてご紹介します。

脳梗塞の兆候を早期にキャッチし、適切な対応を取ることで、健康な生活を守るための第一歩を踏み出しましょう。

脳梗塞とは?

脳梗塞とは、何らかの原因で脳の血管が詰まり、血流が遮断されることで脳に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなる状態を指します。脳が酸欠・栄養不足に陥って組織が損傷し、体のさまざまな機能に影響を与えます。主に動脈硬化や血栓が原因で発生しますが、高血圧や糖尿病、心疾患などがリスクを高めます。脳梗塞は、大きく分けて以下の3つのタイプに分けることができます。

  • アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化によって脳の血管が狭くなり、そこに血栓ができて血流が遮断されることで発生する
  • 心原性脳梗塞:心臓内で形成された血栓が血流に乗り、脳の血管に詰まることで発生する
  • ラクナ梗塞:脳内の細い血管が詰まることで発生する

脳梗塞は後遺症が残るリスクが非常に高く、約3人に1人が後遺症を残すとされています。後遺症の程度は発症部位や範囲、治療開始時期によって異なります。起こりうる後遺症としては、具体的に運動障害言語障害認知障害感覚障害があります。

脳梗塞の初期症状とは?

脳梗塞は症状が急激にあらわれることが多く、迅速な対応が重要です。ここでは、脳梗塞初期に起こりうる7つの症状について詳しく解説していきます。

突然の強い頭痛

通常の頭痛とは異なり、これまでに経験したことがない程の激しい頭痛が、前触れなく発生することが特徴です。脳内の血流が途絶えることで、脳組織にダメージが及ぶ際に頭痛が生じます。頭痛に加えて吐き気や嘔吐、めまいなどが同時に現れることもあります。

顔の歪み

顔の片側が麻痺することで、表情が不自然になったり、片側だけが垂れ下がったりなどの症状がみられることがあります。笑顔を作ろうとした際に口元が片方だけ下がる目がうまく開かないといった異変があらわれる場合もあります。また、目や口の動きが制限されて表情が非対称になるため、ご自身で気付くよりも先に、周囲の人が異変に気付くことも。この症状は、脳の神経がダメージを受け、顔の筋肉をコントロールできなくなることで発生します。

言葉のもつれや発語困難

脳梗塞を発症すると、うまく発音できない言葉が思い浮かばない話す内容が相手に伝わりにくいなど、スムーズな会話が困難になることがあります。また、相手が話している内容を理解しにくくなることもあります。これらの症状は、脳の言語を司る部位が血流不足に陥り、脳細胞がダメージを受けることで発生します。家族や友人など、身近な人が症状に気付くことが多いため、脳梗塞の初期症状の一つとしてあらかじめ理解しておくことが大切です。

片側の手足のしびれや麻痺

脳梗塞を発症すると、左右どちらかの手足に、しびれや麻痺などの症状がみられることがあります。これは、脳の一部が血流不足に陥り、運動機能に異常をきたすことで生じます。例えば、何の前触れもなく腕や脚が動かなくなったり、力が入らない、ピリピリとしたしびれを感じたりなどです。損傷を受けた脳(右脳もしくは左脳)の反対側に症状があらわれるため、多くの場合、顔・腕・脚の片側すべてに同時に麻痺が生じます。しびれや麻痺が一時的に回復することもありますが、手足の痺れは脳梗塞のサインである可能性が高いため、早急に医療機関で診察・検査を受けることをおすすめします。

視力の異常

視力の異常は、脳の視覚を司る部分への血流が途絶えることで生じます。具体的には、突然片方または両方の目が見えづらくなる視界の一部が欠けるなどです。目自体に問題がなくても、脳が正しく視覚情報を処理できなくなるため、突然視界がぼやけたり、視覚が遮断されるような感覚に陥ります。なかでも、片側性視野欠損(左右片側の視野が欠ける)がみられた場合は脳梗塞が原因である可能性が高く、早急に適切な処置が必要になります。また、物が二重に見える複視も、脳梗塞のサインの一つです。

めまいとバランスの喪失

脳梗塞によって、脳のバランスや運動機能を司る部分に血流障害が生じると、体のコントロールがうまくできなくなります。感じ方は人によって異なりますが、具体的には突然強いめまいを感じる立っていることや歩くことが難しくなるふらつく倒れそうな感覚に陥るなどです。脳梗塞が原因で発生するめまいは、通常のめまいと比べて非常に激しい場合が多く、日常的な動作が困難になる程です。また、耳鳴りや吐き気をともなうこともあります。

意識障害や混乱

脳の血流が阻害されると脳全体の機能が低下し、意識がぼんやりする話している内容が理解できない時間や場所がわからなくなるといった混乱状態が生じることがあります。これらの症状は、脳の広範囲にわたる血流不足や、重要な神経機能が急にダメージを受けたことによって引き起こされます。脳梗塞による意識障害は軽度から重度まで幅広く、短時間の意識混濁やぼんやり感、重篤な場合は昏睡状態に至ることもあります。

脳梗塞の早期発見に役立つ簡単なチェック方法

脳梗塞の早期発見には、いくつかの簡単なセルフチェックが役立ちます。まず、「FASTテスト」を試してみましょう。これはFace(顔の歪み)、Arms(腕の麻痺)、Speech(言葉のもつれ)、Time(時間)の4つのポイントで脳梗塞の兆候を確認する方法です。具体的には、以下の方法でチェックします。

  1. Face(顔の歪み):鏡の前で笑顔を作り、顔の片側が歪んでいないか確認します
  2. Arms(腕の麻痺):両腕を同時に上げ、片側の腕が下がってこないかチェックします
  3. Speech(言葉のもつれ):言葉がはっきりしない、または発音が不明瞭でないか確認しましょう
  4. Time(時間):これらの兆候が一つでも現れた場合は、すぐに医療機関に連絡することが重要です

これらの簡単なチェックを日常的に行うことで、脳梗塞の早期発見と迅速な対応が可能になります。

初期症状が現れた場合の緊急対応と医療機関への連絡方法

脳梗塞の初期症状がみられた場合は、迅速かつ適切な対応が重要です。まず、症状から脳梗塞が疑われる場合は、即座に救急車を呼びましょう。脳梗塞は時間との戦いであり、早期に適切な治療を受けることで、後遺症を最小限に抑えられる可能性が高くなります。救急車を呼ぶ際は、症状の発生時刻内容を正確に伝えることが大切です。これにより、医療機関が迅速に対応できるようになります。また、ご自身やご家族に症状がみられた場合は、患者を安静に保ち、落ち着いた状態でいられるように努めましょう。動かす必要がある場合は移動を最小限にし、患者を横向きに寝かせて呼吸や意識状態を観察します。緊急時に備えて、家族や周囲の人々が適切な対応方法を知っておくことも重要です。症状が軽度であっても放置せず、早急に医療機関で診察を受けましょう。早期発見と迅速な対応が、脳梗塞の影響を最小限に抑えるカギとなります。

まとめ

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶えることで、脳細胞が損傷を受ける重大な病気です。

初期症状として、具体的には以下のような症状がみられる可能性があります。

  • 片側の手足のしびれ・麻痺
  • 言葉のもつれ
  • 視力異常
  • 強い頭痛
  • めまい・バランスの喪失
  • 意識障害・混乱

これらの症状が突如現れることが多く、速やかな対応が求められます。

脳梗塞の早期発見に役立つFASTテストでは、

  • 顔の左右非対称
  • 片腕の下垂
  • 言語の乱れ

この3項目についてチェックし、1つでも異常があればただちに医療機関に連絡をしましょう。

緊急時には迷わず119番通報を行い、適切な医療機関で迅速な治療を受けることが、後遺症を防ぐために重要です。

脳梗塞は一刻を争う病気であり、初期症状を見逃さないことが命を救うカギとなります。

参考情報

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