PR

神経内分泌腫瘍とは?癌とどう違う?

健康コラム

人気YouTuberグループ「Kevin’s English Room」のケビンさんが、神経内分泌腫瘍の手術を受けたことを公表しました。

大腸の検査で悪性腫瘍が見つかり、転移を防ぐために摘出手術を行ったとのことです。

現在は入院しながら回復に向かっているそうです。

神経内分泌腫瘍は、ホルモンを分泌する特殊な細胞から発生する病気で、「がん」と混同されることもあります。

ただし、すべてが同じ性質をもつわけではありません。

この記事では、神経内分泌腫瘍と神経内分泌癌の違いをわかりやすく解説していきます。

神経内分泌腫瘍(NEN/NET)とは

神経内分泌腫瘍(NEN)は、体のあちこちにある神経内分泌細胞(ホルモンを出すはたらきをもつ細胞)から発生する腫瘍の総称です。
この細胞は、消化管やすい臓、肺など全身に存在しており、腫瘍ができる場所によって症状も性質も異なります。

NENの中でも、増殖のゆるやかなものは「神経内分泌腫瘍(NET)」と呼ばれ、比較的おだやかな経過をたどることが多いです。

一方で、急速に進行するタイプは「神経内分泌癌(NEC)」と分類されます。

つまり、NENという大きなグループの中に、NETとNECという2つのタイプがあるという位置づけです。

一見わかりにくい名称ですが、「どんなスピードで進む腫瘍なのか」を示すための大切な分類でもあります。

神経内分泌癌(NEC)とは

神経内分泌癌(NEC)は、神経内分泌腫瘍(NEN)の中でも悪性度が非常に高いタイプに分類されます。

細胞の分化(成熟の度合い)が低く、短期間で急速に大きくなるのが特徴です。

NECは肺やすい臓、消化管などに発生しやすく、早い段階で転移を起こすことも少なくありません。

一般的ながんと同じように、がん細胞が周囲の組織へ入り込み、全身へ広がる性質をもっています。

治療では、手術だけでなく抗がん剤などを組み合わせることが多く、NETに比べて治療の難易度が高い病型です。

つまり、NECは「神経内分泌腫瘍の中でも、より攻撃的に進行するがん」であるといえます。

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)の違いを比較

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)はどちらも同じ細胞から生まれますが、そのふるまいはまったく異なります。

ここでは、両者を「分類」と「進行の速さ」という2つの視点から比べ、違いをわかりやすく整理します。

分類と特徴の違い

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)は、見た目が似ていても「細胞の性質」がまったく異なります。

NENは「分化」と呼ばれる細胞の成熟度によって分類され、よく分化したものが神経内分泌腫瘍(NET)、未分化のものが神経内分泌癌(NEC)です。

NETは細胞の構造が比較的整っており、ゆっくりと増える傾向があります。

一方のNECは細胞が未熟で、形や並びが不規則なため、短期間で勢いよく広がる特徴があります。

つまり、同じ「神経内分泌の性質」をもつ腫瘍であっても、細胞の分化の度合いによって「おだやかに進むタイプ」か「急激に進行するがん」かが分かれるのです。

進行速度・悪性度の違い

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)は、進行のスピードや悪性度に大きな差があります。

NENのうち神経内分泌腫瘍(NET)はゆっくりと増殖し、数年単位で経過をみることもあります。

それに対しNECは短期間で急速に大きくなり、転移を起こしやすい攻撃的ながんです。

この違いは、細胞の増殖能や分化度によるものと考えられています。

NECでは細胞分裂が活発で、周囲の組織に深く入り込みやすいため、発見時にはすでに進行しているケースも少なくありません。

つまり、同じ神経内分泌系の腫瘍でもNETはゆるやかに、NECは急速に進む。それが両者の大きな違いです。

診断の方法

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)は見た目だけでは区別がつかないため、専門的な検査が欠かせません。

診断ではまず、画像検査(CTやMRI)で腫瘍の位置や広がりを確認します。

さらに、血液中のホルモン値や腫瘍マーカーを測定し、活動性の目安を調べます。

最も重要なのが、生検(組織を採って顕微鏡で調べる検査)です。

ここで細胞の分化度や増殖の速さを評価し、NETかNECかを見極めます。

また、Ki-67という増殖指標が悪性度を判断する手がかりになります。

このように、NENとNECの診断は「画像+血液+組織」を組み合わせて多角的に行われます。

治療法と予後の違い

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)は、進行の速さや性質が異なるため治療方針も大きく変わります。

NENのうち神経内分泌腫瘍(NET)はゆっくり進行することが多く、腫瘍を取り除く手術が基本です。

手術が難しい場合は、ホルモンの働きを抑える薬や分子標的薬を使い、病気の勢いをコントロールします。

一方のNECは短期間で広がる性質があるため、抗がん剤を中心とした治療が行われます。

場合によっては放射線治療を組み合わせ、再発や転移を抑えることもあります。

つまり、NETは「長くつき合う病気」として経過を見守ることが多く、NECは「早期対応が重要ながん」として集中的な治療が必要になります。

まとめ

神経内分泌腫瘍(NEN)と神経内分泌癌(NEC)は、同じ細胞から生まれる腫瘍でも、性質や進み方が大きく異なります。

NENの中でゆっくり成長するものが神経内分泌腫瘍(NET)、急速に広がるものが神経内分泌癌(NEC)です。

診断では、画像検査や生検によって細胞の特徴を詳しく調べ、どちらにあたるかを判断します。

治療もNETでは手術中心、NECでは抗がん剤中心と、進行の速さに合わせて選ばれます。

つまり、神経内分泌腫瘍と神経内分泌癌の違いは、「どれだけ早く進むか」で分けられる、とても重要な分類なのです。

タイトルとURLをコピーしました