夜中に突然泣き叫んだり、恐怖に満ちた様子で起き上がったりする「夜驚症(睡眠時驚愕症)」。
初めて見た親御さんはびっくりしてしまうかもしれません。
しかし、多くの場合は一時的なもので、成長とともに自然とおさまっていきます。
この記事では、夜驚症の原因や症状、家庭でできる対処法までわかりやすく解説していきます。
お子さんの睡眠中の異常行動でお悩みの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
夜驚症(睡眠時驚愕症)とは?
夜驚症(睡眠時驚愕症)とは、幼児期の子どもによく見られる一時的な睡眠障害です。
夜間に突然泣き出したり叫んだりするため、親は驚きや不安を感じることが多いでしょう。
多くの場合、入眠後1〜2時間以内の深い眠りの最中に発生し、子どもは目を開けていても周囲の呼びかけに反応しません。
数分〜15分程で落ち着き、再び眠りにつくことがほとんどです。
本人には翌朝まったく記憶が残っていないケースも多く、脳の発達途中によく起こる自然な現象と考えられています。
夜驚症の主な原因
夜驚症が起こる背景には、子どもの脳の発達段階が深く関わっています。
ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りの最中に、脳の一部が誤作動を起こすことで、叫び声や混乱した行動につながると考えられています。
また、強いストレスや疲れすぎ、生活リズムの乱れも誘因のひとつです。
例えば、環境の変化や日中の興奮が大きかった日には、発症しやすくなる傾向があります。
こうした原因を知っておくことで、夜驚症に備えた過ごし方の工夫がしやすくなるでしょう。
夜驚症と夜泣きの違い
夜驚症と夜泣きは混同されがちですが、それぞれの特徴には明確な違いがあります。
夜泣きは浅い眠りのタイミングで起こり、抱っこや声かけで落ち着くことが多いのに対し、夜驚症は深い眠りのなかで突然発症し、声をかけても反応がなく混乱した様子をみせます。
また、夜泣きは生後数ヵ月から見られますが、夜驚症は2〜6歳頃の子どもに多くみられる傾向があります。
見極めのポイントを知っておくことで、対応方法を判断しやすくなるでしょう。
夜驚症が発生しやすい年齢は?
夜驚症は、主に2〜6歳頃の子どもに多くみられる傾向があります。
この時期は脳の発達が急速に進むタイミングであり、睡眠の仕組みがまだ安定していないため、深い眠りからうまく移行できずに発作が起こると考えられています。
日中に刺激が多かった日や、生活リズムが乱れがちな子どもほど、夜驚症の症状が出やすいといわれています。
子どもが夜驚症を起こした際の対処法
夜驚症の発作時には、無理に起こしたり揺さぶったりせず、落ち着くまで静かに見守りましょう。
夜驚症は深い眠りのなかで起こるため、本人は目を開けていても覚醒しておらず、声かけに反応しないことが多いです。
また、無理に起こそうとするとかえって混乱を強めてしまう可能性があります。
安全を確保しつつ、そばで見守り、布団をかけ直す程度にとどめましょう。
周囲が慌てず対応することで、発作も比較的早く収まりやすくなります。
自宅でできる夜驚症の予防策
日々の生活習慣を整えることで、夜驚症の発症頻度や程度をやわらげることができます。
子どもの脳はまだ発達途中であり、睡眠リズムが安定しないと深い眠りに入った際に脳が混乱しやすくなります。
そのため、毎日同じ時間に就寝・起床する規則正しい生活を心がけるのが効果的です。
さらに、寝る前はテレビやスマホなどの強い光を避け、ゆったりした時間を過ごすことも大切です。
寝室の照明や温度、布団の心地よさなど環境を整えることも、質の良い眠りに直結します。
日中に過度な興奮や疲労をため込まないよう、適度な運動や休憩も意識しましょう。
こうした日々の積み重ねが、夜驚症の予防につながり、親子の安心感にもつながります。
夜驚症と発達障害の関連性について
夜驚症と発達障害には関連があるのでは?と心配になる親御さんもいるでしょう。
しかし、夜驚症は健康な子どもにもみられる一時的な睡眠のトラブルであり、必ずしも発達障害と結びつくものではありません。
夜驚症の症状は成長とともに自然におさまるケースが多く、医学的にも発達障害との直接的な因果関係ははっきりしていないのが現状です。
ただし、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)をもつ子どもは睡眠に関する課題を抱えることがあり、夜驚症と似た症状があらわれる場合もあります。
夜驚症は医師に相談すべき?
夜驚症は成長とともに自然におさまることが多いため、必ずしも医師の診察が必要なわけではありません。
ただし、頻繁に発作が起きる、日常生活に支障が出ている、ケガの危険性などがある場合は、一度専門機関で相談してみると安心です。
また、睡眠中の異常行動が激しかったり、発達や言葉の遅れが気になる場合は、小児科や小児神経科の早めの受診をおすすめします。
医師に相談することで、夜驚症なのか、ほかの病気による症状なのかを明確にでき、親の対応の方針もみえてきます。
睡眠中の様子で気になることがあるときは、一人で悩まず専門家のサポートを受けましょう。
まとめ
夜驚症は、2~6歳頃の子どもによく見られる一時的な睡眠障害です。
多くの場合は成長とともに自然に落ち着いてくるため、医療機関の受診は必須ではありません。
発作が起きても無理に起こそうとせず、静かに見守りましょう。
症状をやわらげるには、生活習慣を整えたり、日中に適度な運動を取り入れたりするのが効果的です。
また、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)をもつ子どもには、夜驚症に似た症状がみられることもあります。
もし、睡眠中の症状に加えて発達や言葉の遅れ、落着きのなさなどが気になる場合は、早めに医師へ相談すると安心です。
お子さんがぐっすり眠れるよう、できることから少しずつ始めていきましょう。