「神経内分泌腫瘍(NET)」という名前、少し耳慣れないですよね。
この病気には、体の中の「ホルモンを出す細胞」が関係しています。
進行がゆっくりなため気づかないうちに広がっていることもあり、早期発見がとても大切です。
概要
神経内分泌腫瘍は、神経と内分泌(ホルモンを分泌する)両方の性質を持つ細胞からできる腫瘍のことです。
できる場所は、すい臓(膵臓)や小腸、肺などさまざま。
性質によって「良性」と「悪性(がんのように広がる)」に分けられます。
ホルモンを多く出すタイプと、ほとんど出さないタイプがあり、症状の出方にも大きな差があります。
主な症状
ホルモンを出すタイプでは、分泌する物質によって症状が異なります。
代表的なものを挙げると、具体的には以下のような症状があります。
- インスリノーマ(インスリンを分泌):血糖値が下がり、手の震えや意識がもうろうとする
- ガストリノーマ(胃酸を増やすホルモン):胃潰瘍や腹痛が起きやすい
- カルチノイド腫瘍(セロトニンを分泌):顔のほてりや下痢、息苦しさが続く
ホルモンを出さないタイプでは腫瘍が大きくなるまで症状が出にくく、「おなかの張り」「体重減少」などで気づくことがあります。
主な治療法
治療法は、腫瘍の場所や広がり方によって変わります。
- 手術:取りきれる場合は切除が基本
- 薬物療法:ホルモンの働きを抑える薬や、がんの増殖を抑える分子標的薬を使用
- 放射線療法:転移(てんい)や再発がある場合に行うことも
最近では「ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)」という新しい治療も登場し、難治性の腫瘍に対して期待されています。
予防・セルフケア
神経内分泌腫瘍を完全に防ぐ方法はありませんが、早期発見が何より大切です。
- 健診での腹部エコーやCT検査を定期的に受ける
- 長く続く下痢やほてり、体重減少などがあれば早めに受診する
- 食生活を整え、過労やストレスをためないようにする
体の小さな変化を放っておかず、「なんとなく変だな」と感じた時点で受診することが、早期治療への近道です。
まとめ
神経内分泌腫瘍は、ゆっくり進むタイプもある一方で、静かに広がることもあります。
症状が分かりにくい病気だからこそ、体調の変化を見逃さず、定期的な検診を習慣にすることが大切です。