2024年5月28日。
鳥取県米子市の温浴施設「淀江ゆめ温泉」で、追い炊き配管から基準値を超えるレジオネラ菌が検出され、27日までに体調不良の相談が47件寄せられていると報じられました。
レジオネラ菌に感染すると肺炎などの症状が出ることがあり、重症化するケースも。
早めに異変に気づくためにも、症状の特徴を知っておきましょう。
レジオネラ菌とは?
レジオネラ菌(Legionella)は、主に水の中に生息する細菌です。
湿度と温度の条件がそろうと増殖しやすく、特に給湯設備や加湿器、循環式の浴槽などが感染源になりやすいとされています。
適切な清掃や管理がされていない公衆浴場では、菌が繁殖した湯気を吸い込むことで感染するおそれがあります。
健康な人は重症化しにくいものの、高齢者や基礎疾患のある方は肺炎を引き起こすこともあります。
レジオネラ症の主な感染経路
水がたまる場所や湿度の高い環境では菌が増殖しやすく、私たちの身近にも感染のリスクが潜んでいます。
加湿器のタンクやシャワーヘッド、循環式の浴槽などが代表的です。
清掃が不十分だと水の中で菌が増え、それが霧状になって吸い込まれることで感染につながるおそれがあります。
レジオネラ症の症状
レジオネラ菌に感染すると、体にさまざまな症状があらわれます。
重症化するケースもあるため、早めに気づけるよう、症状を知っておくことが大切です。
レジオネラ肺炎の主な症状
レジオネラ菌によって引き起こされるレジオネラ肺炎は、重症化することがあるため特に注意が必要です。
通常の肺炎と比べて症状が強く、特に高齢者や免疫力が低下している人にとっては命にかかわることもあります。
代表的な症状は、以下です。
- 高熱(38℃以上)
- 激しい咳・息切れ
- 全身のだるさ
- 筋肉痛
- 頭痛
- 意識障害
- 錯乱
- 下痢・腹痛・嘔吐などの消化器症状
ポンティアック熱の主な症状
レジオネラ菌による感染であらわれる病態の一つに、ポンティアック熱があります。
肺に炎症は起こさず、比較的軽症で済むことが多いのが特徴です。
以下のような、かぜに似た症状がみられます。
- 軽度の発熱
- 倦怠感
- 咳
- 筋肉痛
- 頭痛
このような症状が数日続いた後、自然に回復する例がほとんどです。
入院を必要としないケースも多く、特別な治療を行わずに治ることが一般的です。
レジオネラ症の治療法
適切な治療を受ければ、多くのケースで重症化予防と早期回復が期待できます。
レジオネラ肺炎には、ニューキノロン系やマクロライド系の抗菌薬が有効とされています。
ただし、重症の場合は入院のうえ点滴治療が行われることも。
一方、ポンティアック熱は軽症で済むことが多く、自然に回復するケースがほとんどです。
いずれにしても、症状が出た際は自己判断せず、医師の診断を受けることが安心につながります。
日常でできるレジオネラ菌の予防対策
レジオネラ菌は、家庭や施設内の水まわりで増えることがあります。
ふだんの暮らしの中でも、ちょっとした工夫で感染リスクを減らすことができます。
家庭でできる予防対策
浴槽や給湯器の定期的な清掃と高温洗浄
レジオネラ菌の繁殖を防ぐには、浴槽や給湯器を清潔に保つことが欠かせません。
水がたまりやすい場所は菌が増えやすく、放置すると感染リスクが高まります。
シャワーヘッドも取り外して洗浄する
シャワーヘッドは、レジオネラ菌が繁殖しやすい場所の一つです。
内部は湿った状態が続きやすいため、定期的な手入れが大切です。
加湿器のタンクや内部のこまめな洗浄
使用後は水を抜き、タンクやフィルターを定期的に洗浄しましょう。
気温や湿度が高くなる季節は、よりこまめな手入れが効果的です。
長期間使っていない水道は使用前にしばらく水を出す
使われずに放置された水道管の中には、レジオネラ菌が繁殖していることがあります。
旅行や出張などで数日以上空けた後は、注意が必要です。
最初に出る水は、菌だけでなくサビや汚れも含まれることがあります。
公衆施設で注意したいこと
温泉・スーパー銭湯では換気と清掃が行き届いた施設を選ぶ
施設選びの際は、浴室の換気状態や清掃の頻度にも目を向けてみましょう。
お湯が濁っていたり、ぬめりが気になる場所がある場合は注意が必要です。
見えないところだからこそ、衛生管理が行き届いた施設を選ぶことで安心につながります。
高齢者や持病のある方は感染リスクを意識した行動を
温泉施設や大型浴場を利用する際は、混雑する時間帯を避け、設備の衛生管理が行き届いているかを事前に確認しておくと安心です。
正しい知識でレジオネラ菌から身を守ろう
レジオネラ菌は、身近な水回りや温浴施設などを通じて感染することがあります。
高齢者や持病のある方は、肺炎など重い症状を引き起こすおそれがあるため、特に注意が必要です。
こまめな清掃や設備の点検、施設選びの工夫など、できる対策は意外と身近にあります。
今できることから、少しずつ始めていきましょう。