在宅でお仕事をしていると、「家賃や光熱費って全部経費にできるの?」と迷うことはありませんか?
特に、開業したばかりの個人事業主さんやフリーランス初心者さんにとって、家事按分(かじあんぶん)の考え方は少しややこしく感じるかもしれません。
この記事では、家事按分の計算方法や割合の決め方をわかりやすく解説していきます。
家事按分とは?
自宅を作業場所として使っている場合、家賃や光熱費などを全額経費にすることはできません。
事業に使った分だけを計算し、経費として計上します。
自宅兼事務所の家賃なら、仕事に使っている部屋の面積や使用時間をもとに割合を出します。
Wi-Fiや電気代も同じ考え方です。
ただし、税務調査で納得してもらうには、合理的な根拠をもって経費に計上する必要があります。
家事按分が認められるための条件と根拠
ここでいう「根拠」とは、使用面積の比率や使用時間、使用頻度など、数字や事実で説明できる材料のことです。
家事按分を経費として申告するには、税務署が納得できるだけの条件と根拠が必要です。
あいまいな計算や「なんとなく半分」という設定では、経費として認められないことがあります。
自宅兼事務所の場合、図面で事業スペースの面積を示したり、作業時間を記録しておくと説得力が高まります。
家賃の按分|面積按分と時間按分の違いを紹介
自宅兼事務所の家賃を経費にするには、事業利用分を計算する必要があります。
代表的なのが、床面積を基準にする面積按分と、使用時間を基準にする時間按分です。
ここでは、それぞれの特徴と計算方法をみていきましょう。
使用面積で按分する場合
家賃を家事按分する方法のひとつが、使用面積で割合を出すやり方です。
事業用スペースと生活スペースを明確に分けられる場合に向いています。
面積按分は、床面積をもとに計算するため根拠がはっきりしやすく、税務署にも説明しやすいのが特徴です。
作業部屋と生活空間が完全に分かれていなくても、事業専用として使っている範囲を測って割合を出せれば、OKです。
面積按分は、計算方法がシンプルで初心者にも扱いやすく、家事按分の中でも基本的な算出方法です。
稼働時間で按分する場合
家賃を按分するもう一つの方法が、稼働時間をもとに計算する方法です。
同じ部屋を、仕事と生活の両方に使っている場合に向いています。
時間按分を使用する場合、作業時間をメモしておくなど記録が必要ですが、作業スペースと生活スペースを兼用している人にとっては、現実的で柔軟な方法といえます。
光熱費・通信費の按分|使用時間を根拠にした算出方法
光熱費や通信費は、使用時間をもとに按分するとわかりやすく、税務署にも説明しやすいのでおすすめです。
特に在宅ワークでは、同じ設備を仕事と私生活で共有していることが多く、面積だけでは事業分を判断しにくい場合に向いています。
インターネット回線も同様で、仕事利用と私用の時間を分けて考えます。
請求書や使用履歴を保管しておくと、後から割合の根拠を説明しやすくなります。
日々の利用状況をざっくりでも記録しておけば、合理的な按分ができ、安心して経費に計上できるでしょう。
【実例】通信費を家事按分した場合の仕訳
通信費は、事業とプライベートの両方で使うことが多いため、家事按分が必要になります。使用時間を根拠にすれば、合理的で説明しやすい計算が可能です。
例)月額5,000円のインターネット回線を契約し、自宅で1日8時間×週5日(約160時間/月)仕事に利用している場合
稼働時間:8時間 × 週5 × 約4週 = 160時間/月
30日の月の総稼働時間:24 × 30 = 720時間
事業利用割合:160 ÷ 720 = 約22.2%
事業分金額:5,000 × 22.2% = 約1,111円 → 1,110円(四捨五入)
借方(左側) | 金額 | 貸方(右側) | 金額 | 摘要(メモ欄) |
通信費 | 1,100 | 普通預金 | 5,000 | ネット代・稼働時間按分(事業利用約22%) |
事業主貸 | 3,900 |
プライベート利用分は「事業のお金でプライベート分を立て替えた」という扱いになるので、勘定科目は「事業主貸」を使用します。
家事按分の計算や記帳に迷ったらプロに相談してみよう
そんなときは、プロの力を借りるのも選択肢のひとつです。
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まとめ|家事按分は計算方法と証拠をそろえて正しく申告を!
自宅で作業をする個人事業主・フリーランスさんにとって、家事按分は、正しく経費を計上するために欠かせない考え方です。
税務調査で認められるには、合理的な根拠と、それを証明するための記録が必要になります。
面積や使用時間など、数字で説明できる基準を使えば、税務調査の対象になった際にもスムーズに説明できるでしょう。
たとえば家賃なら面積按分、光熱費や通信費なら時間按分など、費目に合わせて計算方法を選ぶとよいでしょう。
割合の根拠や計算式はメモや資料として残しておくことが大切です。
これからは、日々の業務で「どれくらい事業で使っているか」を意識して記録を残し、申告時に迷わない環境を整えておきましょう。
正しい方法で家事按分すれば、安心して経費に計上できますよ。
ちょっとした疑問も聞きづらくて、モヤモヤを抱えたまま進めることに…。
だからこそ、「いつでも相談できるパートナー」がそばにいると、本当に心強いです!
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