首や肩、腕に広がる痛みやしびれに悩んでいませんか?
先日、タレントの出川哲朗さんも「首や背中の激しい痛みで救急病院を受診した」と話題になり、診断されたのは「頸椎症性神経根症」でした。
この病気は、首の神経が圧迫されることで起こるもので、加齢や悪い姿勢が原因になることがあります。
症状が悪化すると日常生活に支障をきたすため、適切な治療とセルフケアで首への負担を減らすことが重要です。
この記事では、頸椎症性神経根症の原因、症状の特徴、治療法、再発予防のポイントをわかりやすく紹介します。
首や腕の痛みでお悩みの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
頸椎症性神経根症とは?
加齢により椎間板(ついかんばん)がすり減ったり、骨にトゲ(骨棘:こっきょく)ができたりすると、神経の通り道が狭くなり、神経根を刺激しやすくなります。
また、長時間のスマホ操作や猫背姿勢など、首に負担がかかる姿勢が続くことも発症のきっかけになります。
年齢や性別を問わず誰にでも起こり得るため、日頃からの注意が大切です。
頸椎症性神経根症の主な症状
頸椎症性神経根症は、首や肩、腕などに痛みやしびれがあらわれやすい病気です。
神経の根元(神経根)が圧迫されると、どのような症状が出るのか見ていきましょう。
首から肩・腕まで広がる強い痛み
神経の根元(神経根:しんけいこん)が圧迫されることが原因で、首だけでなく肩や腕にも痛みが響くのが特徴です。
物を持ち上げたり首をひねったときに、さらに痛みが増すことも。
こうした放散する痛みは片側のみに出ることが多く、生活に支障をきたすほど痛みが強まることもあります。
手や指がしびれる・感覚が鈍い
頸椎症性神経根症では、物がつかみにくい、腕に力が入りにくいといった症状がみられます。
神経の根元(神経根)が圧迫されることで、筋肉を動かす命令がうまく伝わらなくなるためです。
ペットボトルを持ち上げるときに力が抜けるなど、日常のちょっとした動作にも影響が出ることがあります。
首を後ろに反らすと痛みが強まる
頸椎症性神経根症では、首を後ろに反らすと痛みが強まることがあります。
これは、首を反らした際に神経の根元(神経根)の通り道が狭くなり、神経がさらに圧迫されるためです。
天井を見上げたときや、洗濯物を干す動作で特に強い痛みを感じる場合、首への負担が増しているといえます。
腕の腱反射の減退
腕の腱反射が弱くなるのも、頸椎症性神経根症の特徴です。
これは神経の根元(神経根)が圧迫され、筋肉と神経の連携がうまくいかなくなることで起こります。
日常生活では気付きにくいですが、これも神経障害のサインのひとつです。
左右どちらか一方に症状が出やすい
右側の神経根が圧迫されている場合、右の首や肩、腕にだけ痛みやしびれがあらわれます。
頸椎症性神経根症の治療法
頸椎症性神経根症の治療は、まず、症状をやわらげる方法が中心です。
症状が続く場合に限り、リハビリや手術が検討されます。
ここでは、頸椎症性神経根症に対する治療法をそれぞれ詳しく解説します。
①保存療法
すぐに手術を行わないのは、自然に改善するケースが多いためです。
保存療法では、首の安静や痛み止めの使用(消炎鎮痛薬)、神経ブロック注射などが行われます。
こうした治療を続けると、多くの場合は数週間から数か月で症状が軽くなります。
②リハビリテーション
頸椎症性神経根症に対するリハビリの目的は、神経根への負担を減らし、筋肉のはたらきを回復させることです。
リハビリには、首や肩のストレッチ、姿勢の見直し、筋力トレーニングなどがあります。
症状の改善と再発予防のどちらにも役立つため、症状が落ち着いたあとも無理のない範囲で続けることが大切です。
③手術療法
保存療法で症状が改善しない場合、手術が検討されます。
症状が長引き、日常生活に大きな支障が出るケースでは、神経の圧迫を取り除く必要があるためです。
手術の内容としては、前方除圧固定術や椎間孔拡大術などがあります。
ただし、手術には合併症のリスクもあるため、医師とよく相談して治療法を決めることが大切です。
頸椎症性神経根症の再発予防のポイント
頸椎症性神経根症は、生活習慣の中に原因が潜んでいることがあります。
まずは姿勢や寝具、日常の動作を見直すことから始めてみましょう。
正しい姿勢を習慣化する
正しい姿勢を意識し、頸椎(けいつい)への負担を減らすことは、再発を防ぐために大切です。
首を真っすぐ保つ、背筋を伸ばして座る、顎を軽く引くことなどがポイントです。
普段からこれらのポイントを意識することで、首への負担を減らすことができます。
自分の体型・寝姿勢にあった枕を選ぶ
高すぎる枕は頸椎に無理な角度をつけ、痛みを招きやすくなります。
体型や寝姿勢に合わせて枕を選び、首への負担を減らしましょう。
自分の身体に合った枕を使うことで、首を自然な位置で支えることができ、睡眠中も首が安定しやすくなります。
首・肩のストレッチを日常に取り入れる
首や肩のストレッチを習慣化すると、筋肉の緊張がやわらぎ、首への負担を軽くすることができます。
ゆっくり首を横に倒す、肩を回す動きなどが効果的です。
寝る前や起きたとき、仕事の休憩中など、ちょっとした時間を使って首・肩の緊張をやわらげてあげましょう。
首・肩甲骨周りのインナーマッスルを鍛える
首や肩甲骨まわりのインナーマッスル(深層筋)を鍛えることで、首・頸椎への負担を減らす効果が期待できます。
軽いチンイン(顎を引く動き)などがおすすめです。
適正体重の維持
適正体重を維持することは、首への負担を減らし、頸椎症性神経根症の再発予防に役立ちます。
体重が増えると姿勢が崩れやすく、首や肩への負担が大きくなることで発症や再発のリスクが高まるためです。
食生活の見直しや軽い運動など、無理なく続けられる方法を見つけましょう。
まとめ|生活習慣の見直しと適切な治療で症状改善をめざそう
頸椎症性神経根症は、首や肩、腕に痛みやしびれがあらわれる、身近な病気のひとつです。
適切な治療を受ければ症状の改善が期待できますが、繰り返さないためには生活習慣の見直しが欠かせません。
正しい姿勢、自分に合った寝具の使用、ストレッチ、適正体重の維持などを意識することが再発予防に役立ちます。
症状が続く場合は無理をせず、早めに医療機関に相談しましょう。