便に血が混じる、腹痛や下痢が長く続く――そんな症状の裏に、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)が隠れていることがあります。
指定難病のひとつであり、完治が難しいとされる病気ですが、適切な治療や生活習慣の工夫でコントロールすることができます。
概要
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍(かいよう/ただれ)が生じる病気です。
- 主に免疫の異常が関わっていると考えられている
- 若い世代から高齢者まで幅広く発症する
- 症状が良くなる「寛解期」と悪化する「再燃期」を繰り返す
がん化のリスクが上がることもあるため、定期的な検査や医師の管理が欠かせません。
主な症状
潰瘍性大腸炎は、初期には「ちょっとした下痢や血便」として現れることもあり、見過ごされがちです。
- 下痢や血便
- 腹痛や腹部の不快感
- 発熱や倦怠感(けんたいかん/強い疲れ)
- 重症になると体重減少や貧血も
日常生活に影響するほど繰り返すことがあり、精神的な負担も大きくなります。
主な治療法
治療は症状のコントロールと再発予防が目的です。
- 抗炎症薬(5-ASA/大腸の炎症を抑える薬)
- ステロイド薬(炎症を強く抑える薬)
- 免疫調整薬や生物学的製剤(抗TNF抗体薬など)
- 症状が重く薬が効かない場合は外科的手術
一人ひとりに合わせた治療が必要で、長期的な通院と医師との相談が欠かせません。
予防・セルフケア
潰瘍性大腸炎は完全に予防することはできませんが、再燃を防ぐ工夫は可能です。
- 薬を自己判断で中止せず、継続する
- 規則正しい生活と十分な休養
- 脂質や刺激物を控えたバランスの良い食事
- ストレスをため込みすぎない工夫
体調の小さな変化に気づき、早めに受診することが大切です。
まとめ
潰瘍性大腸炎は、慢性的な炎症を伴う難病であり、再燃と寛解を繰り返すのが特徴です。
完治は難しくても、薬と生活習慣の工夫で症状を安定させることは十分に可能です。
長く付き合う病気だからこそ、正しい知識を持ち、自分の体をいたわることが欠かせません。