体を動かす筋肉が少しずつ弱っていき、思うように動かせなくなる――。
筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう/ALS)は、命にかかわる難病のひとつです。
発症の原因はまだ完全には解明されていませんが、研究や治療法の進歩によって、以前よりも長く生命を維持できるようになってきています。
概要
ALSは、脳や脊髄(せきずい)にある運動ニューロン(筋肉を動かす神経)が障害を受け、筋肉が徐々にやせていく病気です。
- 発症は40〜70歳に多い
- 男女差はほとんどない
- 指定難病に指定されている
進行すると、手足だけでなく呼吸に使う筋肉まで弱っていき、日常生活全般に影響が及びます。
主な症状
ALSの症状は少しずつ進行し、初めは「疲れやすい」程度に見えることもあります。
- 手足の筋力低下や細かい動作のしにくさ
- 話しにくい、飲み込みにくい
- 呼吸が苦しくなる
- 筋肉がやせて体が動かしづらくなる
進行のスピードは人によって異なり、数年で急速に進む場合もあれば、ゆるやかに進む場合もあります。
主な治療法
ALSを根本的に治す薬はまだありません。
ただし、進行を遅らせたり生活の質を保ったりするための治療は可能です。
- リルゾール(進行を緩やかにする薬)
- エダラボン(神経の障害を抑える薬)
- 呼吸を助ける機器(人工呼吸器や在宅酸素)
- リハビリテーションや栄養管理
医療や介護のサポートを組み合わせることで、できる限り自分らしい生活を続けることができます。
予防・セルフケア
現時点ではALSを確実に予防する方法はありません。
ただし、患者さんやご家族にできる工夫はあります。
- 早めに専門医を受診して適切な診断を受ける
- 症状に合わせてリハビリや栄養管理を行う
- 医療・介護サービスを活用する
- 気持ちの負担を軽くするために支援団体とつながる
一人で抱え込まず、周囲の支援を受けながら向き合うことが大切です。
まとめ
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉を動かす神経が障害され、徐々に体が動かなくなる難病です。
治すことは難しくても、進行を遅らせる薬やサポート体制を活用することで、生活の質を保つことは可能です。
病気を正しく知り、支え合いながら暮らしていくことが重要です。