最近、疲れやすい・気分が落ち込みやすい・体がむくむ…そんな症状が続くと、更年期やストレスのせいだと思い込んでしまう人も少なくありません。
しかし、その背景に甲状腺(こうじょうせん)の働きが弱まる病気が隠れていることがあります。
今回は甲状腺機能低下症について、特徴や症状、治療法、日常生活での工夫をわかりやすく解説します。
概要
甲状腺は首の前側にあり、体の代謝をコントロールするホルモンを分泌しています。
甲状腺機能低下症は、このホルモンが不足して体の活動がスローになる状態です。
- 主な原因は橋本病(自己免疫による慢性甲状腺炎)
- 女性に多く、特に中高年で増える
- 一時的に起こる場合もあり、妊娠期や出産後にも注意が必要
主な症状
ホルモン不足によって全身の働きが低下し、次のような症状が見られます。
- 疲れやすく、集中力が落ちる
- 顔や手足のむくみ
- 皮膚の乾燥や髪の抜け毛
- 寒がりで体温が下がりやすい
- 便秘がちになる
- 声がかすれる、気分が落ち込みやすい
初期は気づきにくいものの、生活の質に影響することが少なくありません。
主な治療法
治療の中心は、不足しているホルモンを補うことです。
- 甲状腺ホルモン剤の服用:体内のホルモン量を正常に近づける
- 定期的な血液検査で量を調整
- 長期にわたって内服を続ける場合が多い
薬の効果で症状は改善しやすいですが、自己判断で中止せず、医師の指示を守ることが重要です。
予防・セルフケア
完全に防ぐことは難しいですが、早期発見と日常の工夫で症状の進行を抑えることができます。
- 健康診断や婦人科受診で血液検査を受ける
- 疲労感やむくみが続くときは早めに相談する
- バランスのよい食事と十分な休養
- 自己判断でサプリやヨウ素を多量に摂らない
体の小さな変化を見逃さないことが大切です。
まとめ
甲状腺機能低下症は、心身のエネルギーが不足したような状態を引き起こします。
放っておくと生活に大きな支障をきたすこともありますが、適切な治療でコントロールが可能です。
気になる症状が続くときは、早めに医療機関で相談してみましょう。