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前立腺がんの初期症状とは?気になるサインと見逃しやすい特徴

前立腺がん 症状 健康コラム

アメリカのバイデン前大統領が、前立腺がんの放射線治療を受けていることが報じられました。

今年5月に診断を受け、現在は放射線治療とホルモン治療を行っているとのことです。

高齢でありながらも、治療と公務を両立している姿に注目が集まっています。

このニュースをきっかけに、「前立腺がんってどんな病気?」「どんな症状が出るの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。

前立腺がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。

この記事では、前立腺がんで現れやすい症状や似た病気との違い、検査の流れをわかりやすく解説します。

大切な人の健康を守るきっかけとして、ぜひ最後までご覧ください。

前立腺がんとは?

前立腺の役割とがんの発生の仕組み

前立腺は、男性の膀胱のすぐ下にあるクルミくらいの大きさの臓器です。

尿道を囲むように存在していて、精液の一部を作る役割を担っています。

この前立腺の細胞が異常に増殖してしまうのが前立腺がんです。

がん細胞は正常な細胞のように成長や分裂のコントロールが効かなくなり、徐々に増えていきます。

多くの場合、何年もかけてゆっくりと進行するのが特徴です

初期症状が出にくい理由

前立腺がんが初期段階で症状を起こしにくい理由は、前立腺の外側部分からがんが発生することが多いためです。

尿道から離れた場所で発生するため、尿の通り道に影響が出にくく、本人も気づかないまま過ごしてしまいます。

また、がんの進行速度がゆっくりなことも、症状が現れにくい要因のひとつです。

そのため、定期的な検査によって初めて見つかるケースがとても多くなっています。

前立腺がんの初期段階で起こりうる変化

尿の出にくさ・細い尿線など

前立腺がんの初期では、尿が出にくくなったり、尿の勢いが弱くなったりすることがあります

トイレで立っていても尿が出始めるまでに時間がかかったり、尿の線が以前より細くなったりする変化に気づくかもしれません。

また、力を入れないと尿が出ない、途中で途切れてしまうといった症状も見られます。

こうした変化は少しずつ進むため、本人も気づきにくいことが多いですが、家族が気づくこともあります。

残尿感や切れの悪さを感じる

排尿を終えた後も、まだ膀胱に尿が残っているような感覚が続くことがあります。

これを残尿感といいます。

トイレから離れた後も「まだ出そうな感じ」が残ったり、何度もトイレに行きたくなったりします。

また、排尿の最後がスッキリ切れずにダラダラと続く症状も現れます。

こうした症状は前立腺が尿道を圧迫することで起こりますが、初期段階では軽い違和感程度のため見過ごされやすい特徴があります。

頻尿・夜間頻尿が増える

日中のトイレの回数が増えたり、夜中に何度も目が覚めてトイレに行くようになったりします。

通常、夜間に2回以上トイレで起きる状態を夜間頻尿と呼びます。

前立腺がんによって膀胱が刺激されると、少量の尿でも尿意を感じやすくなります。

特に夜間頻尿は睡眠の質を下げて疲労感につながるため、日常生活への影響も大きくなります。

ただし、加齢でも同様の症状が出るため、原因を見極めることが大切です。

血尿や血精液が出る可能性も

尿に血が混じる血尿や、精液に血が混じる血精液が見られることがあります。

血尿は目で見てわかるほど赤い場合もあれば、検査で初めて指摘される程度の微量な場合もあります。

血精液は茶色っぽい色や赤みを帯びた色になります。

どちらも痛みを伴わないことが多いのが特徴です。

これらの症状は前立腺の組織に炎症や出血が起きているサインなので、見つけたら必ず医師に相談しましょう。

こうした症状は「がん以外の病気」でも起こる?

前立腺肥大症と前立腺がんの違い

前立腺肥大症は、前立腺が加齢とともに大きくなる良性の病気で、50歳以上の男性に多く見られます。

排尿困難や頻尿など、前立腺がんと似た症状が現れますが、がんではないため転移の心配はありません。

ただし、症状だけで区別するのは難しく、前立腺肥大症と前立腺がんが同時に存在するケースもあります。

そのため、排尿症状がある場合は、きちんと検査を受けて原因を特定することが大切です。

膀胱炎・尿路結石との見分け方

膀胱炎は細菌感染によって膀胱に炎症が起こる病気で、排尿時の痛み頻尿残尿感などが特徴です。

特に女性に多いですが、男性でも起こります。

尿路結石は、腎臓や尿管に石ができて激しい痛みを引き起こす病気で、血尿を伴うこともあります。

これらの病気は前立腺がんと症状が重なる部分がありますが、膀胱炎では発熱や排尿痛が強く、尿路結石では突然の激痛が特徴的です。

症状の出方や経過を医師に詳しく伝えることで、正確な診断につながります。

他の要因で排尿症状が出るケース(加齢、薬剤など)

加齢に伴って膀胱の機能が低下したり、尿道周辺の筋肉が衰えたりすることで、頻尿や尿漏れが起こることがあります。

また、高血圧の薬や抗ヒスタミン薬、抗うつ薬などの副作用で排尿障害が現れる場合もあります。

さらに、糖尿病があると神経障害によって排尿コントロールが難しくなることも。

排尿症状の原因は多岐にわたるため、自己判断せずに医師に相談することが重要です。

症状が出たらどうすればいい?検査と診断の流れ

まずは医療機関に相談を(泌尿器科など)

排尿に関する症状や血尿などが気になったら、泌尿器科を受診するのがおすすめです。

泌尿器科は腎臓や膀胱、前立腺など、尿に関わる臓器を専門に診る科です。

かかりつけの内科医に相談してから紹介してもらうこともできます。

最近では、前立腺がん検診を行っている自治体や医療機関も増えているので、無症状でも定期的にチェックを受けるのが理想的です。

主な検査(問診・直腸診・PSA検査・尿検査など)

泌尿器科を受診すると、まず詳しい問診が行われます。

いつから症状があるか、どんな症状か、家族に前立腺がんの人がいるかなどを聞かれます。

次に、以下のような検査が行われるのが一般的です。

  • 直腸診:肛門から指を入れて前立腺の大きさや硬さを確認する
  • PSA検査:血液検査で前立腺特異抗原(前立腺から分泌されるたんぱく質)の値を測定する
  • 尿検査:血尿や感染の有無をチェックする

特にPSA検査は前立腺がんの早期発見に有効で、数値が高いとがんの可能性が疑われます。

さらに詳しい検査(超音波・MRI・生検など)

PSA検査で異常が見つかった場合や、直腸診で気になる所見があった場合は、さらに詳しい検査を行います。

超音波検査では前立腺の大きさや形を確認し、MRI検査ではがんの有無や広がりを詳しく調べることができます。

最終的な診断には、前立腺生検という組織を採取する検査が必要になります。

細い針で前立腺の組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。

この検査で初めて確定診断がつきます。

検査前に知っておきたい注意点

検査を受ける際には、服用している薬やアレルギーの有無を必ず医師に伝えましょう。

特に血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合は、生検前に一時的に中止する必要があります。

また、前立腺生検は局所麻酔で行われますが、検査後に軽い出血や違和感が数日続くことがあります。

検査の流れや注意事項について、事前に医師からしっかり説明を受けて、不安な点は遠慮なく質問してください。

前立腺がんが進行したときに現れやすい症状

排尿回数や尿量の減少

前立腺がんがさらに大きくなると、尿道を完全にふさいでしまい、尿が全く出なくなることがあります。

これを尿閉といい、緊急の処置が必要です。

また、尿の流れが悪くなって腎臓に尿が溜まる状態を水腎症と呼びます。

水腎症が続くと腎臓の機能が低下し、体内に老廃物が蓄積してしまいます。

背中の痛みや吐き気、むくみなどが現れたら、腎機能が悪化している可能性があるため、すぐに受診が必要です。

全身の痛みや手足の痺れ

前立腺がんが進行すると、リンパ節や骨、まれに肺や肝臓などに転移することがあります。

骨転移では腰や背骨、骨盤、太ももの骨などに痛みが出ます

転移した骨がもろくなって骨折しやすくなることもあります。

また、背骨に転移して神経を圧迫すると、手足のしびれや脱力感、歩行困難などの神経症状が現れることもあります。

このような症状は生活の質を大きく低下させるため、早めの対応が求められます。

体重減少や倦怠感など

がんが進行すると、体全体に影響が及ぶようになります。

食欲が落ちて体重が減少したり、常に疲れやすくだるさが続いたりします。

これは、がん細胞が体のエネルギーを消費したり、炎症物質が全身に影響を与えたりするためです。

また、貧血になって顔色が悪くなったり、発熱が続いたりすることもあります。

こうした全身症状が現れている場合は、かなり進行している可能性が高いです。

なぜ早期発見が重要なのか

進行度別の治療効果と予後

前立腺がんは進行度によって治療の選択肢や効果が大きく変わります。

前立腺内に留まっている早期の段階で見つかれば、手術放射線治療で完治が期待できます。

実際、早期に発見された場合の5年生存率はほぼ100%です。

一方、転移がある進行がんでは根治が難しくなり、症状を和らげる治療が中心になります。

早期発見できれば、治療の負担も少なく、日常生活への影響も最小限に抑えられます。

無症状期の発見の意味

前立腺がんは症状が出る前に見つけることが理想的です。

無症状の段階で発見できれば、がんが小さく治療しやすい状態で対処できます。

PSA検査を定期的に受けることで、自覚症状がなくても異常を早期にキャッチできます。

特に50歳を過ぎたら、症状がなくても年に一度はPSA検査を受けることをおすすめします。

リスク因子と注意すべき人

前立腺がんになりやすい人には、いくつかの特徴があります。

  • 50歳以上の男性
  • 家族に前立腺がんの人がいる
  • 肥満傾向がある
  • 高脂肪の食生活を続けている

特に、父親や兄弟に前立腺がんの人がいる場合は、リスクが2倍以上になるといわれています。

これらに当てはまる方は、より注意深く定期検診を受けることが大切です。

日常生活でできる注意・対策

規則正しい生活習慣と食事の工夫

前立腺がんの予防に確実な方法はまだわかっていませんが、健康的な生活習慣を心がけることは大切です。

バランスの良い食事を意識し、野菜や果物、魚を積極的に取り入れるようにしましょう。

特に、トマトに含まれるリコピンや大豆製品に含まれるイソフラボンは、前立腺の健康に良いとされています。

逆に、動物性脂肪の摂り過ぎは控えめにすることが推奨されています。

また、適度な運動や十分な睡眠も、全身の健康維持に役立ちます。

定期検診・スクリーニングの大切さ

前立腺がんは早期発見が何よりも重要なので、定期的な検診を習慣にしましょう。

50歳を過ぎたら年に一度、リスクが高い方は45歳頃から検査を始めることが推奨されています。

PSA検査は血液検査だけなので、体への負担がほとんどありません。

自治体や職場の健康診断にPSA検査が含まれているか確認し、含まれていなければ泌尿器科で自費検査を受けることもできます。

大切な家族に検診を勧めることも、健康を守る大きな一歩になります。

気になる症状があるときは早めに受診を

排尿の変化や血尿など、少しでも気になる症状があったら、様子を見ずに早めに受診することが大切です。

「年のせいだろう」「そのうち治るだろう」と思って放置すると、がんが進行してしまう可能性があります。

特に、夜間頻尿が急に増えた、尿の勢いが明らかに弱くなった、血尿が出たなどの症状がある場合は、できるだけ早く泌尿器科を受診しましょう。

早期発見できれば、それだけ治療の選択肢も広がります。

まとめ

前立腺がんは初期段階では症状がほとんど出ないため、定期的な検査が早期発見の鍵となります。

排尿に関する変化や血尿、骨の痛みなどの症状が現れた場合は、がんだけでなく他の病気の可能性も考えられるため、自己判断せずに泌尿器科を受診することが大切です。

特に50歳以上の男性や家族歴がある方は、年に一度のPSA検査を習慣にしましょう。

早期に発見できれば治療の選択肢も広がり、完治も十分に期待できます。

大切な家族の健康を守るためにも、今回ご紹介した知識を役立てていただければ幸いです。

気になる症状があるときは、遠慮せずに早めに相談してくださいね。

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