結核は、かつて「不治の病」と恐れられていた感染症ですが、現在でも日本で年間に1万人以上が新たに診断されています。
治療薬があるにもかかわらず、油断すると重症化するため、正しい知識を持つことが重要です。
概要
結核は、結核菌(抗酸菌の一種)が肺を中心に感染して起こる病気です。
- 主に空気感染で広がる(咳やくしゃみによる飛沫核感染)
- 肺に発症することが多いが、リンパ節や骨、腎臓など全身に広がることもある
- 免疫力が下がったときに発症しやすい
日本ではBCGワクチンの普及で患者数は減少しましたが、高齢者や基礎疾患のある方を中心に依然として報告があります。
主な症状
肺に感染した場合の代表的な症状は以下のとおりです。
- 2週間以上続く咳
- 痰に血が混じる
- 微熱や寝汗
- 体重減少、全身のだるさ
初期は風邪と似た症状が多いため、長引く咳や体調不良があれば注意が必要です。
主な治療法
結核は、複数の薬を組み合わせて長期間治療することが基本です。
- 抗結核薬(リファンピシン、イソニアジドなど):複数種類を6か月以上内服する
- 治療途中で自己判断により中断すると、薬が効かない耐性菌が生まれるリスクがある
- 入院治療が必要になることもある
医師の指示を守って治療を継続することが、完治への近道です。
予防・セルフケア
感染を防ぐには、早期発見と周囲への拡大を防ぐことが大切です。
- 乳児期のBCGワクチン接種
- 健康診断で胸部レントゲン検査を受ける
- 咳や痰が長く続く場合は早めに受診
- 咳エチケットを守り、マスクの着用や手洗いを心がける
免疫力を保つため、栄養バランスの良い食事や十分な休養も大切です。
まとめ
結核は今も身近に存在する感染症で、放置すれば命にかかわる可能性があります。
しかし、早期に見つけて適切に治療を続ければ治せる病気です。
体調の変化を見逃さず、健康診断や受診を習慣にすることが安心につながります。